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退職金を受け取ったあと、「NISAで運用した方がよいのか」と考える方は少なくありません。
NISAは運用益が非課税になる制度で、長期の資産形成に使いやすい仕組みです。一方で、NISAを使えば必ず増えるわけではありません。投資信託や株式には価格変動があり、元本割れの可能性もあります。
退職金でNISAを始めるなら、まず退職金全体の使い道を分けることが必要です。
退職金は、最初に次の3つに分けて考えます。
NISAで運用を考えるのは、原則として3つ目の「長期で備えるお金」です。5年以内に使う予定があるお金や、生活費にすぐ必要なお金をNISAに入れると、値下がりしたときに取り崩しにくくなります。
金融庁のNISA情報では、非課税保有限度額や年間投資枠などの制度が示されています。制度としては便利ですが、退職金運用で大切なのは「枠を埋めること」ではありません。
確認すべきなのは、次の点です。
NISAは制度であり、目的ではありません。退職金の一部を長期資金として育てるために使うのか、将来の医療・介護費に備えるのか、配偶者の生活資金として残すのかを先に決めます。
退職金はまとまった金額なので、一括投資を考えやすいお金です。しかし、退職直後に大きく投資すると、値下がり時の心理的負担も大きくなります。
一括投資が合うのは、長期で使わない資金が明確で、価格変動に耐えられる方です。迷いがある場合は、数回に分ける、毎月積み立てる、現金を厚めに残すなど、心理的に続けられる形を選ぶ方が現実的です。
国民生活センターには、投資信託に関する相談として、勧誘方法やリスク説明に関する相談が寄せられています。退職金は取り戻しにくいお金です。分からないまま大きな金額を動かさないことが大切です。
退職金をNISAで運用するかどうかは、NISAだけを見ても決められません。
年金だけで毎月いくら不足するのか、住宅ローンが残るのか、保険料が重くないか、医療・介護費をどれだけ残すか。これらを確認した後で、運用してよい金額が見えてきます。
退職金をNISAで運用すること自体は選択肢の一つです。ただし、NISAの枠を使うことよりも、退職金の役割を分けることが先です。
生活を守るお金、近く使うお金、長期で備えるお金を分けたうえで、長期で使わない部分だけを運用候補にする。この順番を守ることで、退職金運用の失敗を避けやすくなります。
退職金とNISA・資産運用を整理したい方へ
NISAを使うかどうかは、退職金、年金、住宅ローン、保険、生活費を合わせて確認すると判断しやすくなります。
退職金とNISAの使い方を整理したい方へ
この記事を書いた人
Hajime Maeda(AFP、実務経験20年)。退職金、老後資金、年金、保険、資産運用をまとめて考える個別相談を行っています。
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