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退職金は何年もつ?平均余命から考える運用期間と取り崩し方

2025.11.05

退職金の運用期間は何年が正解か?平均余命から逆算する資産寿命設計

退職金を受け取ったとき、多くの方が最初に気にするのは「このお金は何年もつのか」という点です。

正確な寿命は誰にも分かりません。ただし、平均余命、年金見込額、毎月の不足額を使えば、退職金を何年で使う前提にするかは整理できます。

平均寿命ではなく、退職時点の平均余命を見る

老後資金を考えるときに、平均寿命だけを見ると判断を誤りやすくなります。平均寿命は0歳時点の平均余命です。60歳、65歳、70歳まで生きている方は、そこからさらに何年生きるかという平均余命で見る必要があります。

厚生労働省の令和6年簡易生命表では、2024年の平均寿命は男性81.09年、女性87.13年です。退職金の設計では、ここに余裕を持たせて、90歳、95歳、100歳までの複数パターンで見る方が現実的です。

退職金の運用期間は3つのシナリオで見る

退職金を何年で使うかは、1つの年齢で決め打ちしない方がよいです。次の3つで確認すると、長生きリスクを見落としにくくなります。

  • 90歳まで: まず最低限確認したいライン
  • 95歳まで: 多くの家庭で現実的に見ておきたいライン
  • 100歳まで: 配偶者の生活資金や介護費まで含めて余裕を見たいライン

特に夫婦の場合は、どちらか一方が長く生きる可能性を前提にします。夫の平均余命だけでなく、妻の生活資金、遺族年金、住まいの維持費まで確認することが大切です。

取り崩し額は「退職金 ÷ 年数」だけでは決めない

退職金2,000万円を30年で使うなら、単純計算では年間約67万円、月約5.6万円です。しかし、実際には毎年同じ金額を使うとは限りません。

  • 60代後半から70代前半は旅行、趣味、住宅修繕で支出が増える
  • 80代以降は医療費や介護費が増える可能性がある
  • 配偶者に先立たれた後は年金収入が変わる
  • インフレで生活費が上がる可能性がある

そのため、退職金は毎月均等に取り崩すだけでなく、前半・中盤・後半に分けて考える方が実務的です。

運用してよい期間と、運用してはいけない期間

退職金のうち、近いうちに使うお金は運用に向きません。5年以内に使う予定がある資金は、価格変動のある商品ではなく、預金などで確保するのが基本です。

一方で、10年以上使わない可能性が高い資金は、分散投資を検討する余地があります。金融庁も、資産形成の基本として長期・積立・分散の考え方を示しています。ただし、退職後は取り崩しが始まるため、若い世代の積立投資と同じ考え方をそのまま当てはめないことが重要です。

退職金の運用期間を決める5つの確認項目

  1. 年金見込額はいくらか
  2. 毎月の生活費はいくらか
  3. 住宅ローンや家賃は残るか
  4. 医療費、介護費、住宅修繕費を別枠で残しているか
  5. 配偶者に先立たれた後の収入を確認しているか

この5つが分からないまま運用年数を決めても、実際の生活に合わない計画になりがちです。先に家計の全体像を見てから、運用期間を決めます。

100歳まで見るのは大げさなのか

100歳まで生きる前提は、すべての人に必要というわけではありません。ただし、老後資金計画では「長く生きた場合に困らないか」を確認することが重要です。

90歳までなら足りるが、95歳では資金が薄くなる。95歳までは足りるが、配偶者が長生きした場合に不足する。このような差は、試算して初めて見えてきます。

まとめ

退職金の運用期間に正解はありません。平均寿命ではなく、退職時点の平均余命と、ご家庭の生活費、年金、住宅ローン、医療・介護費をもとに決める必要があります。

まずは90歳、95歳、100歳の3つで試算し、使うお金、守るお金、運用してよいお金を分けましょう。退職金は一度に判断するのではなく、資産寿命を見ながら段階的に使い方を決めることが大切です。

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この記事を書いた人

Hajime Maeda(AFP、実務経験20年)。退職金、老後資金、年金、保険、資産運用をまとめて考える個別相談を行っています。

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