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親の介護費用は誰が払う?相続前に家族で決めておくこと

2026.07.09

親の介護が始まると、お金の話は急に現実になります。

介護サービスの利用料、施設費、医療費、交通費、日用品、住宅改修、付き添いの時間。ひとつひとつは小さく見えても、長く続くと家計に影響します。

さらに難しいのは、「誰が払うのか」という問題です。

親本人の年金や預貯金から払うのか、子どもが立て替えるのか、兄弟で分担するのか。ここを曖昧にしたまま介護が始まると、後から相続の場面で不満が出ることがあります。

介護保険で自己負担は軽くなるがゼロではない

介護保険サービスを利用する場合、利用者負担は原則として費用の1割です。ただし、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担になることがあります。

また、介護保険の対象になる費用と、対象外の費用があります。

施設での居住費や食費、日用品、交通費、家族の付き添いにかかる費用などは、別に考える必要があります。

つまり、介護保険があるから親の介護費用は心配ない、とは言い切れません。

親のお金から払うのが基本

介護費用は、まず親本人のお金から払うのが基本です。

親の年金、預貯金、保険、資産状況を確認し、どの程度の期間なら介護費用をまかなえるかを見ます。

ただし、親が認知症になってからでは、預金の引き出しや契約手続きが難しくなる場合があります。元気なうちに、通帳、保険証券、年金通知、介護保険証、医療保険の情報を家族で確認しておくことが大切です。

子どもが立て替える場合は記録を残す

介護費用を子どもが立て替えることもあります。

その場合は、誰が、いつ、何のために、いくら払ったのかを記録しておきましょう。

兄弟のうち一人だけが親の近くに住んでいる場合、その人に負担が集中しやすくなります。お金だけでなく、通院付き添い、役所手続き、施設探し、緊急時の対応も負担です。

相続のときに「自分だけが負担した」とならないよう、介護が始まった時点で情報共有しておくことが重要です。

相続前に決めておきたいこと

親の介護と相続は、別々の問題に見えてつながっています。

介護費用を親の預金から払うと相続財産は減ります。子どもが立て替えると、相続時にその扱いをどうするかが問題になることがあります。

家族で決めておきたいのは次の点です。

  • 親の年金と預貯金の範囲でどこまで払えるか
  • 子どもが立て替える場合の記録方法
  • 兄弟間で費用を分担するか
  • 通院や手続きなど時間的負担をどう考えるか
  • 施設入居が必要になった場合の方針
  • 親の自宅をどうするか
  • 税理士や司法書士へ相談すべきこと

FPができること、専門家につなぐこと

介護費用の相談では、家計全体の見通しを立てることが重要です。

親の年金と預貯金で何年持つか、子ども世帯の家計にどの程度影響するか、相続前に整理しておくべき資料は何か。こうした全体像を作るのはFPの役割です。

一方で、相続税の具体的な申告判断、遺産分割、成年後見、遺言などは、税理士、司法書士、弁護士などの専門領域になります。

早めに整理しておくほど、必要な専門家につなぎやすくなります。

兄弟間で揉めやすいポイント

親の介護費用で揉めやすいのは、実際にお金を出した人と、時間を使った人が一致しない場合です。近くに住む子どもが通院付き添いや施設探しを担い、遠方の兄弟がお金を多めに出すこともあります。どちらも負担ですが、記録がないと後から見えにくくなります。

また、親の預金から介護費用を払う場合でも、誰が通帳を管理するのか、何に使ったのか、兄弟へどう共有するのかを決めておかないと不信感につながります。相続が始まってから説明するより、介護中から共有しておく方が安全です。

介護費用の記録テンプレート

難しい帳簿でなくても構いません。日付、支払者、金額、内容、領収書の有無、親の口座から精算したかどうかを残すだけでも、後から説明しやすくなります。

  • 日付
  • 支払った人
  • 支払先や内容
  • 金額
  • 領収書・明細の保存場所
  • 親のお金から精算済みか、立替中か

介護は長期化することがあります。最初は小さな支出でも、数年続くと大きな金額になります。記録は家族を疑うためではなく、家族関係を守るために残します。

親が元気なうちに確認する一覧

親の判断能力が十分なうちに、年金額、預金口座、保険、介護保険証、かかりつけ医、住まいの名義、固定資産税、借入の有無を確認しておきます。いきなり相続の話をするのではなく、「介護が必要になったときに困らないため」と伝えると話しやすくなります。

親のお金を使うときの説明責任

介護費用は、親本人のお金から支払うのが基本です。ただし、実際には通帳管理、施設とのやり取り、病院への支払いを子どもの誰かが担うことがあります。このとき、他の兄弟から見るとお金の流れが見えにくくなります。

後から「何に使ったのか」と聞かれても、領収書やメモがなければ説明が難しくなります。立て替えたお金、親の口座から払ったお金、兄弟で分担したお金を分けて記録しておくと、相続時の不信感を減らせます。

家族の話し合いでは、誰が正しいかを決めるより、誰が見ても分かる形で残すことを優先しましょう。

まとめ

親の介護費用は、介護保険だけで完結するとは限りません。

まず親本人のお金で払える範囲を確認し、子どもが立て替える場合は記録を残すことが大切です。

介護が始まってから慌てるのではなく、親が元気なうちに、年金、預貯金、保険、住まい、相続の話を少しずつ整理しておきましょう。

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この記事を書いた人・編集監修

Hajime Maeda。AFP、実務経験20年。退職金、老後資金、保険、相続、教育費など、家計全体を整理する相談業務を行っています。記事では制度の一般論だけで結論を急がず、実際の家計で確認すべき順番を重視しています。

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