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2026年4月 在職老齢年金が改正|65万円まで年金カットされにくくなります

2026.05.14

2026年4月 在職老齢年金が改正|65万円まで年金カットされにくくなります

「働くと年金が減るから、これ以上働かないほうがいいですよね?」

60代のお客様から、本当によく聞く言葉です。

実際、現在の在職老齢年金制度では、給与や賞与、老齢厚生年金の合計額が一定基準を超えると、老齢厚生年金が減額される仕組みになっています。

しかし、2026年4月から、この基準額が大きく見直されます。

今回の改正によって、「働くと年金が減るから調整する」という考え方は、今後かなり変わっていく可能性があります。

1|2026年4月から何が変わるのか

現在の在職老齢年金制度では、給与と老齢厚生年金の合計が月51万円を超えると、超えた分の半額が老齢厚生年金から支給停止されています。

それが2026年4月からは、基準額が月65万円に引き上げられます。

つまり、年金を減額されずに働ける範囲が大きく広がるということです。

この改正は、働き続けたい高齢者の方を後押しし、より働きやすい仕組みにすることを目的としています。

2|具体的にどう変わるのか

例えば、次のようなケースで考えてみます。

項目 金額
給与 月46万円
老齢厚生年金 月10万円
合計 月56万円

現在の基準額は月51万円です。

この場合、合計56万円なので、基準額を5万円超えています。

そのため、超過分5万円の半額である2万5千円が、老齢厚生年金から支給停止されます。

時期 基準額 年金の扱い
2026年3月まで 月51万円 2万5千円が支給停止
2026年4月から 月65万円 支給停止なし

2026年4月以降は、新基準の65万円以内となるため、年金カットなしで受給可能になります。

つまり、今まで減額されていた人が、減額されなくなるケースが増えるということです。

3|「65万円を超えたら損する」は誤解です

ここは非常に誤解されやすいところです。

在職老齢年金は、基準額を超えた瞬間に手取りが急に減る制度ではありません。

基準額を超えた場合、超えた分の半額が老齢厚生年金から調整される仕組みです。

つまり、65万円を少し超えたからといって、働いた分以上に損をするわけではありません。

給与と年金の合計額は、なだらかに増えていく仕組みです。

ここを誤解して、「年金が減るなら働かないほうがいい」と判断してしまうのは、少しもったいない話です。

4|減額されるのは老齢厚生年金だけです

もう一つ、重要なポイントがあります。

在職老齢年金制度で調整の対象になるのは、老齢厚生年金のみです。

老齢基礎年金は減額されません。

年金の種類 在職老齢年金の調整対象
老齢厚生年金 対象になる
老齢基礎年金 対象にならない

この点も、相談現場ではよく混同されています。

「年金が全部止まる」と思っている方もいますが、実際にはそうではありません。

5|影響が大きいのはどんな人か

今回の改正で影響が大きいのは、次のような方です。

  • 60代前半から後半で働いている方
  • 定年後に再雇用で働いている方
  • 管理職として会社に残っている方
  • 役員報酬を受け取っている方
  • 年収が比較的高いシニア層

特に、「年金が減るから勤務日数を減らしている」という方には、大きな影響があります。

これまで必要以上に収入調整をしていた方は、今後は働き方を見直す余地が出てきます。

6|ただし、「年金が減らない=手取り最大化」ではありません

ここは冷静に見ておく必要があります。

在職老齢年金だけを見ると、65万円まで年金が減額されにくくなるのは事実です。

しかし、実際の手取りには、次のようなものも関係します。

  • 所得税
  • 住民税
  • 社会保険料
  • 介護保険料
  • 配偶者控除
  • 高額療養費制度の自己負担区分

つまり、年金が減らないからといって、必ずしも手取りが最大になるとは限りません。

また、退職金の受け取り方や、年金の繰下げ受給、役員報酬の設計なども関係してきます。

ここを全体で見ないと、「働いたわりに思ったほど手元に残らなかった」ということも起こります。

7|これからは“働き方設計”が重要になる

今回の制度改正は、単純に「もっと働けますよ」という話だけではありません。

本質的には、60代以降の働き方とお金の受け取り方を、より自分で設計する必要が出てきたということです。

具体的には、次のような視点が重要になります。

  • 何歳まで働くのか
  • どのくらい収入を取るのか
  • 年金をいつから受け取るのか
  • 退職金をどう受け取るのか
  • NISAや預貯金をいつから使うのか
  • 夫婦全体で老後資金をどう設計するのか

60代以降は、収入を増やすことだけが正解ではありません。

税金、社会保険、年金、資産寿命まで含めて、全体で判断することが大切です。

8|まとめ

2026年4月から、在職老齢年金制度の基準額は月51万円から月65万円に引き上げられます。

これにより、働きながら年金を受け取る方にとっては、年金が減額されにくくなります。

一方で、年金制度だけを見て判断するのは危険です。

実際には、税金、社会保険料、退職金、年金の受け取り方、資産の取り崩し方まで含めて考える必要があります。

「働くと年金が減るから損」

そう単純に決めつける時代ではなくなってきています。

これからは、何歳まで、どのように働き、どの順番でお金を受け取るのか。

その設計が、老後の安心感を大きく左右します。

フィナンシャル・デザインオフィスMAEDAでは、在職老齢年金、退職金、NISA、iDeCo、老後資金、年金受取、働き方設計を含めた総合的な整理相談を行っています。

制度だけではなく、「自分の場合、どう考えるべきか」を整理したい方は、下記よりご相談ください。

ご相談はこちら

出典

  • 厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて(2026年1月版)」
  • 令和7年年金制度改正法に基づき、2026年4月から在職老齢年金の基準額が月51万円から月65万円へ引き上げられる内容を参照

※本文中の制度内容・数値は、厚生労働省資料「在職老齢年金制度の見直しについて(2026年1月版)」をもとに作成しています。

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この記事を書いた人

Hajime Maeda(AFP、実務経験20年)。年金、退職時期、老後資金をまとめて考える個別相談を行っています。

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