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老後資金の相談では、「夫婦でいくら必要か」という話になりがちです。
しかし、実際には夫婦が同時に亡くなるわけではありません。どちらか一方が先に亡くなった後、残された配偶者の生活費と収入がどう変わるかを確認しておく必要があります。
特に、夫が会社員期間の長い世帯では、夫に万一があった後の遺族年金、妻自身の老齢年金、生命保険、預貯金の関係を整理しておくことが大切です。
夫婦二人暮らしから一人暮らしになると、食費など一部の支出は減ります。
しかし、住居費、固定資産税、マンション管理費、車の維持費、通信費、光熱費、保険料などは半分にならないものも多くあります。
そのため、夫婦の生活費を単純に2で割って、残された配偶者の生活費を見積もるのは危険です。
日本年金機構は、65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金を受ける権利がある場合、自分自身の老齢厚生年金が支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金より年金額が高い場合に差額を受ける形になると説明しています。
つまり、遺族厚生年金があるから、亡くなった配偶者の年金がそのまま丸ごと受け取れるわけではありません。
また、遺族厚生年金の額は、亡くなった人の厚生年金の報酬比例部分や、残された配偶者自身の老齢厚生年金との関係で変わります。
生命保険を考えるとき、「いくら入っているか」だけでは不十分です。
重要なのは、配偶者が亡くなった後、年金収入と生活費の差額がどれくらい残るかです。
預貯金や退職金で十分にまかなえるなら、大きな死亡保障は不要かもしれません。逆に、住宅ローン、介護、医療費、子どもへの支援が残る場合は、一定の保障が必要なこともあります。
保険は不安で入るものではなく、足りない金額を補うために使うものです。
配偶者に万一があった後のお金を考えるときは、次の3つを確認します。
ねんきん定期便や年金見込額で、自分自身の老齢年金を確認します。遺族年金だけでなく、自分の年金が土台になります。
今の生活費から、減る支出と残る支出を分けます。住居費、医療費、車、保険、税金は特に確認が必要です。
不足額を何年分まかなえるかを見ます。保険金は多ければよいわけではなく、必要額と保険料のバランスを考える必要があります。
夫婦二人から一人になると食費などは下がりますが、住居費、固定資産税、管理費、車、通信費、医療費、保険料は半分になりません。むしろ一人暮らしになることで、家事支援や移動手段にお金がかかることもあります。
そのため、残された配偶者の生活費は、今の生活費の半分ではなく、固定費と変動費に分けて見積もる必要があります。住まいを維持するのか、住み替えるのか、車を残すのかでも必要額は変わります。
生命保険は、遺族年金と預貯金で足りない部分を補うためのものです。先に保険金額を見るのではなく、残された配偶者の年金見込額、生活費、住まい、医療費、介護費を確認します。
必要保障額が小さくなっているのに保険料を払い続けている場合は、老後資金を圧迫します。反対に、住宅ローンや家族への支援が残っている場合は、保障を急に減らすと不安が残ります。保険は「不安だから入る」ものではなく、不足額を埋めるものとして見直します。
万一の後のお金を考えるときは、遺族年金の金額だけでは足りません。住まいを維持する費用、医療費、介護費、車の維持費、家族への援助、将来の住み替え費用まで含めて考える必要があります。
夫婦二人の生活費から一人分を単純に半分にすると、必要額を小さく見積もりすぎることがあります。固定資産税、管理費、通信費、保険料などは一人になっても大きく減らないためです。
保険を増やすか減らすかは、遺族年金、預貯金、退職金、固定費を並べてから判断します。不安だけで保険に入ると、老後の毎月の保険料が重くなることがあります。
老後資金は、夫婦二人の期間だけでなく、一人になった後の期間まで考える必要があります。
配偶者に万一があった場合、遺族年金は重要な収入になりますが、亡くなった配偶者の年金がそのまま全額入るわけではありません。
残された配偶者の年金、生活費、保険金、預貯金を並べて確認し、必要以上の保険に入りすぎていないか、不足がないかを整理しておきましょう。
この記事を書いた人・編集監修
Hajime Maeda。AFP、実務経験20年。退職金、老後資金、保険、相続、教育費など、家計全体を整理する相談業務を行っています。記事では制度の一般論だけで結論を急がず、実際の家計で確認すべき順番を重視しています。
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