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「選択制確定拠出年金(選択制DC)は、制度としては非常に優れている」
これは間違いありません。
一方で実務の現場では、
「結局、うまく回らなくなった」
「今はほとんど使っていない」
という声が聞かれるのも事実です。
ただし、ここで最初に明確にしておくべき前提があります。
企業型確定拠出年金は、会社が一方的に「やめる」と決められる制度ではありません。
つまり、
「導入したけど、やっぱりやめます」
という判断は、制度上できない。
ではなぜ、「やめた」「失敗した」と言われる会社が出てくるのでしょうか。
現場で起きているのは廃止ではありません。
多くの場合、次のような“事実上の撤退”です。
制度は残っているが、機能していない状態。
本記事ではこれを「形骸化」と呼びます。
選択制DCは、導入時に制度設計・規程整備・説明会を行います。
この段階で、
「ここまでやったのだから、あとは自然に回るはず」
と考えてしまう会社は少なくありません。
しかし実際には、導入はスタート地点に過ぎません。
これを想定していないと、制度は次第に放置されます。
選択制DCは、一度の説明で理解される制度ではありません。
これらを、年齢も価値観も異なる従業員全員に伝える必要があります。
結果として、
ここから、制度の形骸化が始まります。
選択制DCに納得している従業員は、あまり声を上げません。
一方で、
こうした一部の不満は目立ちます。
経営者の耳に残るのは、全体の評価ではなく「強い不満の声」です。
選択制DCは「選択制」です。
つまり、行動しないことも選択できます。
この状態が数年続いたあと、
「こんな制度だとは思わなかった」
という声に変わることがあります。
ここまでの現実が積み重なると、経営者・管理部門の頭に浮かぶのはこの判断です。
「制度としては残すが、新たな拠出は止めよう」
これは廃止ではありません。
しかし、制度は次第に存在感を失い、実務上は使われなくなっていく。
制度の捉え方の差が、数年後に表面化します。
選択制確定拠出年金は、
だからこそ、導入前に「本当に運用し続けられるか」を見極める必要があります。
次回は、「得をする従業員・そうでない従業員が分かれる理由」を従業員視点で整理します。
経営者が見落としがちな論点です。
法人向け制度設計のご相談について
選択制確定拠出年金は「導入できるか」ではなく、
「導入後も機能させ続けられるか」がすべてです。
制度の可否整理、形骸化リスクの洗い出し、説明設計まで含めてご相談いただけます。
選択制DCは、導入すれば自然に活用される制度ではありません。従業員が理解できる説明、選択しやすい設計、導入後の継続的な案内がなければ、制度は形だけになりやすくなります。
会社側は、節税や社会保険料だけでなく、従業員の納得感と長期的な運用体制まで含めて判断する必要があります。
退職金・老後資金を整理したい方へ
この記事を書いた人
Hajime Maeda(前田創)(AFP、実務経験20年)。退職金制度、iDeCo、企業型DC、老後資金 を含めた家計全体の個別相談を行っています。
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