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※本記事は2026年5月時点の日本年金機構・厚生労働省の情報をもとに、一般的な考え方を整理しています。
先に結論
年金繰下げは75歳で84%増えても、全員に有利とは限りません。損益分岐点だけでなく、75歳までの生活費を退職金でまかなえるか、税金・社会保険料、配偶者の年金まで合わせて判断します。
「年金は65歳からもらうもの」という常識は、もう古いかもしれません。受給開始を遅らせる繰下げ受給を選ぶと、2022年の制度改正以降は最長75歳まで繰下げ可能となり、1か月当たり0.7%増額されます。最大の120か月(10年)繰下げで+84%の増額となります。
例:
月額15万円(年間180万円)の年金 → 75歳開始(+84%)で 月額約27.6万円(年間約331万円)
この記事の要点
年金の繰下げ受給は、増額率だけで決めるものではありません。75歳までの生活費、退職金の使い方、税金、社会保険料、配偶者の年金まで合わせて確認する必要があります。
モデルA:月額15万円(年間180万円)を想定
モデルB:月額23.3万円(年間約279.6万円)を仮に想定
※実際の年金額は加入実績・加給の有無・物価スライド等で変動します。上記は制度上の増額率を使った計算例であり、月23.3万円という金額が公的な標準額として保証されているわけではありません。
繰下げでは65〜75歳の10年間は受け取らないため、その未受給分を増えた年金で取り戻す年齢が損益分岐点です。
厚生労働省の簡易生命表では、平均寿命に男女差があります。ただし、平均寿命は個人の寿命を予測するものではありません。繰下げを選ぶかどうかは、健康状態、家族歴、配偶者の年金、退職金の使い方を合わせて考える必要があります。
数字の有利不利だけでなく、次の視点も重要です。
シナリオA:貯蓄・退職金が十分(例:退職金2,000万円超、再雇用・事業収入あり)
→ 75歳までの繰下げは有力候補。80代以降の医療・介護期のキャッシュフローが安定。
シナリオB:健康寿命に不安(家族歴や診断結果に不安)
→ 早めの受給で「元気なうちに使う」設計。60代からの生活満足度を優先。
シナリオC:当面の生活が厳しい
→ 原則どおり65歳開始を軸に、家計改善・就労・社会制度活用を優先。無理な繰下げは避ける。
これらを一体で設計してこそ、繰下げの価値は最大化します。損益分岐点の年齢だけで決めないことが重要です。
年金を75歳まで繰り下げる場合、65歳から75歳までの生活費を別の資金でまかなう必要があります。ここで退職金をどのように使うかを決めずに繰下げだけを先に選ぶと、途中で資金が細り、結局は予定を変更せざるを得ないことがあります。
繰下げを検討する前に、まず次の順番で確認してください。
繰下げは「長生きすれば得」という単純な制度ではありません。60代後半から70代前半に使えるお金を減らしてでも、80代以降の年金を厚くしたいのか。あるいは、元気な時期の生活費や旅行、住宅修繕、家族への支援を優先したいのか。ここは価値観も含めて決める部分です。
個別相談では、年金の繰下げだけを単独で判断せず、退職後の家計全体で確認します。
本記事の数値は制度ロジックに沿った概算です。実額は「加入期間・平均標準報酬・加給の有無・就労の有無・税区分」などで大きく変わります。
ご自身の見込額・税保険料の影響・配偶者との最適な同時最適化まで一度試算することをおすすめします。
(ご希望があれば、あなたの条件で「65・68・70・72・75歳」など複数開始時点のキャッシュフロー比較と損益分岐年齢のレンジを作成します)
注意・免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の受給開始時期の選択を勧誘・推奨するものではありません。実際の受給額・税金・社会保険料・各種加算/停止の有無は、加入記録・収入状況・居住自治体等により大きく異なります。最終判断にあたっては、日本年金機構等の最新公表資料の確認と、必要に応じて専門家(年金アドバイザー・社会保険労務士・税理士・FP等)へご相談ください。
必ず得とはいえません。長く受け取るほど有利になりやすい一方で、繰下げ期間中の生活費、税金、社会保険料、配偶者の年金、退職金の使い方まで合わせて確認する必要があります。
退職金、預金、NISAなどの運用資産、就労収入を組み合わせて考えます。年金を増やすために退職金を早く使いすぎると、後半の資金繰りが苦しくなる場合があります。
年金繰下げと退職金の使い方を一緒に確認したい方へ
繰下げ受給は、増額率だけで決めると生活費、税金、社会保険料、配偶者の年金、退職金の取り崩し順で迷いやすくなります。65歳から75歳までの生活費と、退職金を何年使うかを一緒に整理したい方は、個別相談で確認できます。
この記事を書いた人・編集監修
Hajime Maeda。AFP、実務経験20年。退職金、老後資金、保険、相続、教育費など、家計全体を整理する相談業務を行っています。記事では制度の一般論だけで結論を急がず、実際の家計で確認すべき順番を重視しています。
制度内容や増額率は、以下の公的資料を確認したうえで整理しています。実際の受給額や税金・社会保険料への影響は、加入状況や家族構成によって変わります。
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