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退職金を受け取ると、「預金だけでよいのか」「NISAで運用した方がよいのか」「住宅ローンを返すべきか」といった判断が一気に増えます。
ここで大切なのは、最初に商品を選ばないことです。退職金は、これからの生活費、医療費、住宅修繕費、介護費、配偶者の生活資金にも関わるお金です。先に使い道と時期を整理してから、運用する部分を決める必要があります。
この記事では、退職金の運用を考える前に確認したい5つの準備をまとめます。
退職金は、まず使う時期ごとに分けます。ここを曖昧にしたまま運用を始めると、必要な時期に価格が下がっていて取り崩しにくい、ということが起こります。
| 区分 | 主な使い道 | 考え方 |
|---|---|---|
| すぐ使うお金 | 生活費、税金、引越し、家電買い替え | 預金など値動きの小さい形で確保 |
| 数年内に使うお金 | 住宅修繕、車、医療費、親の支援 | 大きな値下がりを避ける |
| 長期で備えるお金 | 80代以降の生活費、介護費、配偶者の生活費 | 一部を運用候補にできる |
退職金の全額を運用する必要はありません。逆に、全額を預金に置くことが安心とは限りません。大切なのは、「いつ使うか」を先に決めることです。
退職金運用を考える前に、年金や再雇用収入で毎月いくら不足するのかを確認します。
たとえば、生活費が月30万円、年金などの収入が月24万円なら、不足は月6万円です。年間72万円、20年で1,440万円、30年で2,160万円になります。
この不足額を、退職金から取り崩すのか、働く期間を延ばすのか、固定費を下げるのか、一部を運用で補うのか。ここを決めないまま商品を買うと、運用目的が曖昧になります。
退職金の運用相談では、投資商品より先に住宅ローンと保険を確認した方がよいケースがあります。
退職金で住宅ローンを返すと、毎月の返済は軽くなります。一方で、医療費や介護費、住宅修繕費に使える現金が減ります。保険も同じで、不要な保障を残したまま運用を始めると、固定費が重くなり続けます。
金融庁は、資産形成では長期・積立・分散の考え方を示しています。株式や投資信託は預貯金より高いリターンを期待できる一方、元本割れのおそれがあります。
退職金はまとまった金額なので、一度に大きく投資すると、値下がりしたときの心理的な負担も大きくなります。運用する場合でも、使う時期が遠いお金に限定し、複数回に分けて投資する、資産を分散する、値下がり時に取り崩さない資金を残す、といった設計が必要です。
退職金の運用相談では、銘柄選びよりも先に家計全体を見ます。次の資料があると、判断が具体的になります。
すべてそろっていなくても相談はできます。まずは、退職金をどこまで使ってよいのか、運用してよい部分はいくらなのかを整理することが目的です。
退職金運用で避けたいのは、次のような判断です。
国民生活センターにも、投資信託に関する相談として、勧誘方法やリスク説明に関する相談が寄せられています。退職金は一度失敗すると取り戻しにくいお金です。分からないまま契約するのではなく、判断材料をそろえてから進めることが大切です。
退職金の運用で失敗しないためには、商品選びより前に、使う時期、毎月の不足額、住宅ローン、保険、NISAの使い方を整理する必要があります。
運用そのものが悪いわけではありません。問題は、生活費に必要なお金まで運用してしまうこと、リスクを理解しないまま大きな金額を動かすこと、家計全体を見ずに商品だけで判断することです。
退職金は老後生活の土台です。まずは守るお金と運用してよいお金を分けるところから始めましょう。
退職金の使い方を整理したい方へ
退職金を運用するか、住宅ローン返済や生活費に残すかは、年金、保険、住まい、医療・介護費まで合わせて確認すると判断しやすくなります。
退職金の相談前に整理したい方へ
この記事を書いた人
Hajime Maeda(AFP、実務経験20年)。退職金、老後資金、年金、保険、資産運用をまとめて考える個別相談を行っています。
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