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この記事の要点
教育資金は、平均額だけを見ても自分の家庭に必要な金額は分かりません。公立か私立か、自宅通学か下宿か、親がどこまで出すかで必要額は大きく変わります。まずは「高校まで」「大学入学時」「大学在学中」の3つに分けて、いつ資金が不足しそうかを確認することが大切です。
教育資金を調べると、「子ども1人あたりいくら」「大学までにいくら」という平均額がたくさん出てきます。目安として見ることはできますが、その数字をそのまま自分の家庭に当てはめると、判断を誤ることがあります。
教育費は、進路だけでなく、住んでいる地域、通学方法、塾や習い事、親がどこまで負担するかで大きく変わります。同じ年収でも、住宅ローンが残っている家庭と、住宅費が軽い家庭では出せる金額が違います。子どもが1人か2人か、大学進学時期が重なるかどうかでも、必要な準備は変わります。
この記事では、教育資金を平均額ではなく、家庭別に確認するための3つの数字に分けて整理します。
文部科学省の子供の学習費調査を見ると、公立と私立では学習費に大きな差があります。学校教育費だけでなく、塾や習い事などの学校外活動費も含めると、家庭ごとの差はさらに広がります。
ただし、平均額には限界があります。平均額は「多くの家庭の結果」をならした数字であり、あなたの家庭の進路、貯蓄額、住宅ローン、兄弟姉妹の年齢差、祖父母からの援助予定までは反映していません。
特に注意したいのは、教育費は毎月同じように出ていく支出ではないことです。受験期、入学時、下宿開始時などに大きな支出が集中します。平均額を見て「毎年これくらい」と考えるより、いつ大きなお金が必要になるかを確認する方が実務的です。
最初に確認したいのは、高校卒業までにかかる費用です。高校無償化や就学支援金制度があっても、教育費がゼロになるわけではありません。授業料以外にも、教材費、制服、部活動、修学旅行、通学費、塾代、模試代などがあります。
ここで考えるべきことは、「公立なら安心」「私立なら高い」という単純な比較ではありません。公立でも塾代が大きくなる家庭はありますし、私立でも学校内の補習が厚く、外部塾を抑えられるケースもあります。
また、高校までの費用を大学資金とは別に考えることも大切です。高校時代に貯蓄を取り崩しすぎると、大学入学時のまとまった支出に対応しにくくなります。教育資金を考えるときは、高校までの支出と大学用の資金を分けて見ておく必要があります。
大学費用で最も負担感が大きくなりやすいのは、入学前後です。入学金、前期授業料、施設設備費、受験料、併願校の納付金、パソコン、教材費、スーツ、引っ越し費用などが短期間に重なります。
この時期の支出は、毎月の家計から少しずつ払うというより、まとまった現金が必要になります。貯蓄で用意するのか、学資保険の満期金を使うのか、教育ローンを検討するのか、奨学金を借りるのかを、入学直前ではなく早めに整理しておくことが重要です。
特に、併願校の入学金や一人暮らしの初期費用は見落とされやすい支出です。大学の授業料だけを見ていると、「入学時に思ったより現金が必要だった」という状態になりやすくなります。
大学に入った後も、授業料、施設費、教材費、交通費、生活費は続きます。自宅通学か下宿かで、親の負担は大きく変わります。国公立か私立か、文系か理系か、医療系や専門職系かによっても、必要額は変わります。
ここで重要なのは、親が毎年いくら出せるかを現実的に確認することです。ボーナスから出すのか、貯蓄を取り崩すのか、毎月仕送りするのか、子ども本人のアルバイトや奨学金をどこまで見込むのか。ここを曖昧にすると、大学入学後に家計が苦しくなります。
奨学金を使う場合も、借りられるかどうかだけでなく、卒業後に誰が返すのかまで決めておく必要があります。親が返済を手伝う予定なのか、本人が返済するのかによって、家計と将来設計への影響は変わります。
教育資金は、平均額を覚えるよりも、家庭別の表を作る方が役に立ちます。最低限、次の項目を一枚にまとめると見通しが立てやすくなります。
この表を作ると、教育資金の問題が「総額はいくらか」ではなく、「どの年に資金が足りなくなりそうか」という形で見えてきます。資金不足が起きる年が分かれば、貯蓄、保険、奨学金、教育ローン、親子の負担割合を早めに検討できます。
教育資金の相談では、子どもの進学費用だけを見ればよいわけではありません。親の年齢によっては、教育費のピークと住宅ローン、退職準備、老後資金準備が重なります。
教育費を出すこと自体は大切ですが、親の老後資金をすべて後回しにすると、子どもが独立した後に家計が苦しくなることがあります。逆に、老後資金を守りすぎて教育費の選択肢を狭めすぎるのも、家庭によっては納得しにくい判断になります。
だからこそ、教育資金は「いくら必要か」だけでなく、「親がどこまで出すのか」「不足分をどう補うのか」「老後資金にどの程度影響するのか」まで一緒に確認することが大切です。
教育資金はいくら準備すればいいかは、平均額だけでは判断できません。高校まで、大学入学時、大学在学中の3つに分けて、必要な時期と金額を確認することが第一歩です。
そのうえで、親がどこまで負担するか、奨学金や教育ローンを使う可能性があるか、住宅ローンや老後資金にどのような影響があるかを整理すると、家庭に合った準備額が見えやすくなります。
教育費は、早く正確に見える化するほど選択肢が増えます。進学先が決まってから慌てるのではなく、まだ選択肢がある段階で家計全体に重ねて確認しておくことが大切です。
教育費と家計全体を整理したい方へ
この記事を書いた人・編集監修
Hajime Maeda。AFP、実務経験20年。教育費、奨学金、退職金、老後資金、保険、住宅ローン、相続など、家計全体を整理する相談業務を行っています。記事では制度の一般論だけでなく、実際の家計で確認すべき順番を重視しています。
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