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「iDeCoは60歳になったら受け取ればいい」
そう考えている50代の方は、一度立ち止まって確認しておくべきです。
iDeCoの一時金と会社の退職金は、どちらも退職所得控除の対象になる可能性があります。ところが、受け取る順番とタイミングを誤ると、この控除を十分に使えず、税負担が想定より重くなることがあります。
特に2026年1月以降は、iDeCoを先に受け取った場合の重複判定が見直され、従来よりも長い期間を意識する必要が出てきました。
退職金やiDeCoの一時金は、原則として退職所得として扱われます。退職所得は、次の計算式で算出されるため、給与所得などに比べて税負担が軽くなりやすいのが特徴です。
(収入金額 − 退職所得控除額) × 1/2 = 退職所得の金額
問題は、退職金とiDeCo一時金を近い時期に受け取ると、勤続期間や加入期間の重複分について、退職所得控除が調整されることがある点です。
2026年1月1日以後は、退職金を受け取る年の前年以前9年内に受けたiDeCo一時金も重複排除の対象になります。実務上は、これまでの「5年空ければよい」という感覚ではなく、iDeCoを先に受け取るなら10年以上の間隔を意識することが重要になりました。
また逆に、退職金を先に受け取り、その後iDeCo一時金を受け取る場合には、引き続き19年ルールが重要です。
同時受け取りは、必ずしも得とは限りません。合算で考えられることで、控除の使い方が不利になるケースがあります。
iDeCoは原則60歳から受け取れますが、受給開始時期は75歳までの間で選択可能です。急いで一時金で受け取る必要はありません。
これは古い認識です。2026年1月以後は、iDeCoを先に受け取る場合、実務上は10年空ける前提で見ておかないと危険です。
退職金があること自体は安心材料ですが、受け取り方を間違えると、せっかくの税制優遇を削ることになります。重要なのは金額よりも、順番と時期です。
以下は考え方を理解するための簡略例です。実際の税額は、勤続年数、加入期間、他の退職一時金の有無、住民税額などで変わります。
モデルケース
55歳でiDeCo一時金600万円を受け取り、60歳で会社の退職金2,000万円を受け取るケース
重複調整がない前提なら
退職金2,000万円 − 控除1,500万円 = 500万円
500万円 × 1/2 = 課税退職所得250万円
重複調整が入る前提なら
退職金2,000万円 − (1,500万円 − 600万円)= 1,100万円
1,100万円 × 1/2 = 課税退職所得550万円
この差は、所得税・復興特別所得税・住民税まで含めると、数十万円単位ではなく、かなり大きな差になり得ます。ケースによっては100万円超の差になることもあります。
つまり、「受け取り順を変えるだけで税金が大きく変わる」ということです。
60歳定年なのか、65歳定年なのか。早期退職制度があるのか。まずは勤務先の退職金規程を確認してください。
iDeCoは一時金だけでなく、年金形式で受け取る方法もあります。退職所得控除だけでなく、公的年金等控除との兼ね合いまで含めて考える必要があります。
このどちらかに該当する場合は、順番の再設計を検討すべきです。
iDeCoと退職金は、ただ受け取ればいいものではありません。
「いつ」「どちらを先に」「一時金で受け取るのか、年金で受け取るのか」で、税金が変わります。
特に50代は、まだ間に合います。60歳が近づいてから慌てるのではなく、今のうちに退職金規程とiDeCoの受取方針を並べて確認するべきです。
このテーマは、制度を少し知っている人ほど古い知識のまま判断しやすい分野です。「昔は5年と聞いた」では危ないというのが、今の実務です。
退職金とiDeCoは、制度だけ知っていても判断を誤ることがあります。
なぜなら、勤務先の退職金制度、勤続年数、iDeCoの加入期間、受取方法が人によって違うからです。
ネットの一般論ではなく、ご自身の前提条件で整理したい方は、下記からご相談ください。
※本記事は制度の概要をわかりやすく整理したものです。実際の税額や最適な受け取り方は、個別事情により異なります。最終判断は、最新の制度確認のうえで行ってください。
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