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選択制DC導入後に従業員が“何もしない問題”をどう防ぐか

2026.01.15

選択制確定拠出年金(選択制DC)は、導入時の制度設計や社内説明が重要です。

ただ、導入支援の現場で「次に必ず起きる問題」があります。

導入後、従業員が“何もしない”問題です。

制度としては整っている。
説明会もやった。
資料も配った。

それでも、半年〜1年後にはこうなりがちです。

  • ログインしていない
  • 商品を選んでいない(初期設定のまま)
  • 掛金の意味を理解していない
  • 「よく分からないから放置している」

これは従業員の意識が低いから、ではありません。
制度の性質として、放置が起きるのが自然です。

放置=リスクになる理由

選択制DCは、導入した瞬間に自動的に資産形成が進む制度ではありません。

従業員が何もしない状態が続くと、次のリスクが生まれます。

① 制度への不信感が残る

人は理解できないものに対して、好意を持ちません。

「よく分からない制度だった」
「会社が勝手にやった制度に見える」

この空気が広がると、導入時にどれだけ丁寧に説明しても、制度は静かに信用を失います。

② 不満が“あとから噴き出す”

放置している間は表面化しません。
しかし、何かのタイミングで噴き出します。

  • 相場が下がった
  • 転職・退職が決まった
  • 家計が苦しくなった
  • 周囲が「損した」と言い始めた

このときに出るのが、

「こんな制度だと知らなかった」
「誰もちゃんと教えてくれなかった」

という言葉です。

③ 制度が形骸化しやすくなる

従業員が放置している制度は、社内で“価値がない制度”として扱われ始めます。

結果として、

  • 新入社員への説明が雑になる
  • 担当者も積極的に触れなくなる
  • 「とりあえず残っている制度」になる

そして、制度は静かに形骸化していきます。

この「形骸化」がなぜ起きるかは、②でも整理しています。

従業員が“何もしない”のは、制度のせいでもある

選択制DCは、従業員にとって「考えること」が多い制度です。

  • そもそもやるべきか
  • どの商品を選ぶか
  • リスクを取るべきか
  • いつ見直すか

日々の仕事と生活が忙しい中で、これを自発的にやれる人は多くありません。

だから、放置は起きます。
そして放置を前提にしない制度運用は、ほぼ破綻します。

投資教育は「理想」ではなく「現実的ライン」を決める

ここで誤解が起きやすいのですが、

「全員に投資教育を完璧にする」
「全員が金融リテラシーを高める」

これは現実的ではありません。

必要なのは、現実的なラインの設定です。

現実的ライン①:最低限の理解(制度の意味)

まずはここです。

  • 選択制DCは「節税制度」ではない
  • 社会保険料が下がることには意味がある
  • やる/やらないは選べる

この前提が欠けると、制度は誤解の上に成り立ちます。

前提の誤解は①と④で整理しています。

現実的ライン②:初期設定を放置しない

従業員教育で一番効果が出るのは、「理論」より「初期設定の完了」です。

たとえば、

  • ログインできる状態を作る
  • 商品を選ぶ(初期設定のままにしない)
  • 自分が何を選んだかを把握する

ここまでできれば、放置リスクは一段下がります。

現実的ライン③:年1回だけ“見直す仕組み”を作る

全員が毎月チェックする必要はありません。

しかし、

年1回だけでも「確認する場」を作ると、制度の寿命は大きく伸びます。

  • 年度替わり
  • 昇給・評価のタイミング
  • 福利厚生説明会

こうした社内イベントに合わせて、最低限の確認を行う。
これが現実的です。

「やる人/やらない人」を分けたまま放置しない

選択制DCは、従業員ごとに評価が分かれます。

これは制度上、当然です。

ただし、やる人とやらない人がいる状態を放置すると、社内には必ずこういう空気が出ます。

「やってる人だけ得してる」
「やらない人は損してるの?」

この誤解を防ぐには、そもそも「差が出る制度」であることを前提として共有する必要があります。

従業員視点の整理は③で扱っています。

結論:放置させない仕組みがある会社だけが、制度を武器にできる

選択制DCは、導入しただけでは回りません。

導入後に、

  • 最低限の理解を整える
  • 初期設定を放置させない
  • 年1回だけでも見直す仕組みを作る

この運用ができる会社だけが、制度を武器にできます。

逆に言えば、ここをやらないなら、制度は「社内に残るだけ」のものになります。

次の記事は「YES/NOをはっきりさせる」最終チェックです

ここまで読んで、

「うちは導入したほうがいいのか?」
「そもそも導入していい会社なのか?」

この問いが残っているはずです。

次回は、結論をはっきりさせます。

選択制確定拠出年金は「導入するかどうか」より、「導入していい会社かどうか」がすべて

チェックリスト形式で整理します。

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