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中小企業の経営者の方から、退職金制度のご相談でよく出るのがこの悩みです。
「中小企業退職金共済(中退共)と、企業型DCと、選択制DC。結局どれが一番いいんですか?」
最初に結論を言います。
退職金制度に「一番いい制度」はありません。
あるのは、「自社に向いている制度」だけです。
制度比較の記事は世の中にたくさんあります。
ただ、メリット比較だけで決めようとすると、高確率で導入後にズレます。
この記事では、3つの制度を「メリット比較」ではなく、向いている会社像で整理します。
あえて結論を1つにしません。なぜなら、会社の状況によって正解が変わるからです。
退職金制度の比較でありがちな軸は、だいたい次のようなものです。
もちろん、どれも大事です。
しかし、それだけで決めると失敗しやすい理由があります。
退職金制度は、導入後に「説明」「運用」「合意形成」が必要な制度だからです。
目先の数字だけで導入すると、数年後にこうなります。
選択制DCに関しては、特に「節税」や「社会保険料が下がる」だけで語るとズレやすい論点があります。
導入前に押さえておきたい前提は、以下の記事で整理しています。
まず整理したいのは、ここです。
中退共・企業型DC・選択制DCは、同じ「退職金制度っぽいもの」に見えますが、
制度の目的と性格がそもそも違います。
制度を選ぶときは、メリット比較ではなく、次の問いから入るべきです。
自社は「何を守りたい会社」なのか?
中退共は、ひと言で言えば、退職金を「確実に用意する」ための制度です。
中退共が向いている会社像は、こういう会社です。
ここで押さえておきたいのは、次の点です。
中退共は「退職金を守る制度」であって、人件費最適化や資産形成の制度ではありません。
「制度を導入して何かが劇的に良くなる」というより、
退職金を会社の気分で揺らさないための仕組みとして評価すべき制度です。
企業型DCは、会社が制度を用意し、従業員が運用する仕組みです。
選択制DCと混同されますが、会社側の設計思想が異なります。
企業型DCが向いている会社像は、こういう会社です。
企業型DCは、制度としては整っています。
一方で、導入後に必ず出る課題があります。
この「導入後に従業員が何もしない問題」は、選択制DCでも同様に起こります。
制度は導入して終わりではなく、運用が始まってからが本番です。
選択制DCは、しばしば「福利厚生」として語られますが、
実務では人件費設計(報酬設計)として捉える必要があります。
選択制DCが向いている会社像は、こういう会社です。
選択制DCの本質は、ここです。
選択制DCは「制度」ではなく、会社の考え方がそのまま表に出る仕組みです。
だから、設計が甘いと一気に不満が出ます。
逆に、設計と説明が整っていれば、中小企業にとって強い武器になり得ます。
選択制DCが「形骸化」しやすい会社の共通点や、廃止できない制度で現場がどうなるかは、以下で整理しています。
ここまで読んで、こう思った方もいるはずです。
「じゃあ結局、うちはどれなんですか?」
ここで、あえて結論を1つにしません。
なぜなら、正解は会社によって変わるからです。
そして本当に重要なのは、ここです。
問題は「どの制度が得か」ではなく、「その制度を自社が背負えるかどうか」です。
制度を選ぶとき、比較表には出てこないのに、実務で致命傷になりやすい論点があります。
制度設計以上に、実際は社内説明が9割を占めます。
ここが甘いと、制度は「会社都合」に見えます。
導入しただけで従業員が動く、は幻想です。
放置すれば「何もしない問題」が発生し、制度は機能しにくくなります。
選択制DCは特に、会社の考え方が露出します。
だからこそ、「導入すべきか」ではなく「導入していい会社か」を先に見極める必要があります。
これらは、次の記事以降で具体的に掘り下げます。
制度は、導入側の理屈だけで回りません。
従業員側で「得に感じる人/そうでない人」が分かれる理由は、こちらで整理しています。
法人向け|制度選定・制度設計のご相談
中退共・企業型DC・選択制DCの比較は、結局「自社が背負えるかどうか」で決まります。
制度選定の整理、導入可否の判断、従業員説明の設計まで含めてご相談いただけます。
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