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選択制DCは「福利厚生」ではなく “人件費設計の一部”で考えないと失敗する

2026.01.12

選択制確定拠出年金(選択制DC)は、しばしば「福利厚生を充実させる制度」として紹介されます。

もちろん、福利厚生としての側面もあります。
しかし実務では、ここを履き違えると制度は高確率で形骸化します。

結論から言います。

選択制DCは「福利厚生」ではなく、まず「人件費設計(報酬設計)」です。

この前提に立てるかどうかが、導入後の安定運用を分けます。

なぜ「福利厚生」だと思うとズレるのか

福利厚生という言葉は、従業員にとって聞こえが良い反面、次の誤解を生みます。

  • 会社が“追加で”何かをしてくれる
  • 従業員は“受け取るだけ”でよい
  • 全員にとってプラスになる

選択制DCは、これらと相性が悪い制度です。

なぜなら、選択制DCは「給与の一部の扱いを組み替える制度」だからです。

選択制DCの正体は「給与の再設計」

選択制DCは、ざっくり言えば次の構造です。

  • 従業員が、給与の一部をDC拠出に回すか選ぶ
  • 拠出に回した分は、給与として受け取らない
  • その結果、標準報酬月額が下がり、社会保険料が変わる

つまり、会社が“追加で支給する”制度ではなく、給与・社会保険・将来給付のバランスを組み替える制度です。

「人件費設計」として見ると、判断軸が変わる

福利厚生として見ると、論点は「社員が喜ぶかどうか」になりがちです。

しかし、人件費設計として見るなら、論点は次の3つに変わります。

① 報酬体系として整合しているか

  • 基本給・手当・賞与の位置づけは明確か
  • 評価制度・昇給ルールと矛盾しないか
  • 給与明細が従業員にとって理解可能か

ここが曖昧だと、制度導入は「会社が何かいじった」という不信感につながります。

② 会社として“続けられる設計”か

  • 導入後の説明・問い合わせ対応を誰が担うか
  • 新入社員にどう説明するか
  • 制度変更(法改正・社内ルール変更)にどう対応するか

導入がゴールになると、数年後に制度は静かに止まります。

③ 従業員ごとの差を“許容できる”か

選択制DCは、従業員の状況によって評価が分かれます。

  • やる人/やらない人が分かれる
  • 得に感じる人/不安が強い人が出る

これを「全員に同じ反応を求める」設計にすると、制度は歪みます。

「得だから全員やるべき」は危険

選択制DCの説明で、次の言い方は避けるべきです。

  • 「得だから、全員やったほうがいい」
  • 「社会保険料が下がるからメリットしかない」

この説明は、あとから必ず反発を生みます。

なぜなら、社会保険料が下がることは、将来の年金・保障にも関係するからです。
(詳しくは④で解説しています)

関連記事:導入前に押さえるべき論点

結論:選択制DCは「設計」と「説明」が9割

選択制確定拠出年金は、制度として優れているかどうかよりも、

  • 報酬設計として整合しているか
  • 従業員に誤解なく説明できるか
  • 導入後も運用し続けられるか

ここで結果が決まります。

福利厚生の“いい話”として導入すると、後から必ず現実に負けます。
人件費設計として捉え直した会社だけが、制度を武器にできます。

次の記事では「制度説明会で必ず出る質問」と答え方を整理します

次回は、説明会・個別面談で必ず出る質問を想定し、「誤解を生まない答え方」をテンプレート化します。
制度を“続けられる会社”にするための実務編です。

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選択制確定拠出年金は「福利厚生」ではなく、まず「人件費設計」です。
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