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退職金を受け取ったとき、多くの方が迷うのが「住宅ローンを一括返済するべきか、手元資金を残すべきか」という問題です。特に60歳前後で住宅ローン残高がある場合、平均額や金利だけを見ても答えは出ません。定年後の収入、年金開始までの生活費、住宅ローン控除、医療・介護費、保険、家の修繕費まで合わせて確認する必要があります。
この記事では、退職金で住宅ローンを完済する前に、完済・一部繰上返済・返済継続の3案をどう比べるかを整理します。60歳前後で住宅ローン残高が1000万円、1500万円、2000万円残っている方や、定年後も返済が続く方は、まず手元資金が何年分残るかを確認してください。
この記事の要点
「60歳の住宅ローン残高の平均はいくらか」を調べることは、目安を知るうえでは役立ちます。ただし、退職金で完済するかどうかは、平均よりもご家庭ごとの数字で判断するほうが安全です。
定年後の住宅ローンは、金利だけでなく「完済後にお金が残るか」「返済を続けても生活が苦しくならないか」の両方で見ます。退職金を全額返済に回す前に、完済、一部繰上返済、返済継続の3案を並べて比べることが大切です。
60歳前後で住宅ローン残高が残っている場合、残高の大きさだけで「危ない」「すぐ返すべき」と決めるのは早計です。同じ1,500万円の残高でも、退職金の額、年金開始までの収入、毎月返済額、手元資金によって判断は変わります。
定年後の住宅ローン返済計画では、「何歳まで返すか」よりも「返済を続けても生活費と予備資金が減りすぎないか」を先に確認します。完済、一部繰上返済、返済継続の3案を同じ表に並べると、家族で話し合いやすくなります。
・ローン金利が2%以上 → 繰上返済を優先
・ローン金利が1%未満 → 運用を検討する余地あり
・ローン金利が0.5%前後 → 運用の方が有利な可能性大
ただし運用にはリスクが伴います。確実性を重視するなら、金利差が小さくても繰上返済が安心です。
・残期間10年以上 → 利息軽減効果が大きく、繰上返済の価値あり
・残期間5年未満 → 利息軽減効果は限定的、運用の方が有利な場合も
繰上返済をした後も、以下の資金を残すことが目安です。
控除がある場合は要注意です。
数字だけでは測れない「気持ちの安心」も重要です。
多少損をしても、繰上返済で安心を得ることがQOL(生活の質)向上につながることもあります。
「全額返済か、全額運用か」の二択ではありません。
退職後に住宅ローンを残すかどうかを考えるとき、見落としやすいのが住宅ローン控除です。住宅ローン控除は、住宅ローン等の年末残高などをもとに所得税から控除する制度です。したがって、退職金で年内に完済すると、その年の年末残高がなくなり、以後の控除を受けられなくなる可能性があります。
ただし、控除を残したいからといって、必ず繰上返済を先送りすべきとは限りません。退職後は給与収入が減り、所得税額そのものが小さくなることがあります。控除できる枠があっても、実際に差し引ける税額が少なければ、住宅ローン控除の効果は想像より小さくなります。
退職前後で確認したいのは、次の3点です。
特に退職した年は、給与、退職金、年金、再雇用収入が混在しやすくなります。年末調整で済む年と、確定申告で整理したほうがよい年が分かれることもあるため、「控除があるから返さない」「借金は嫌だからすぐ完済する」と一つだけの理由で決めないことが大切です。
退職金で住宅ローンを完済するかどうかは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
数字上は繰上返済が有利でも、手元資金が薄くなると、病気、介護、家の修繕、子や親への支援に対応しにくくなります。一方で、返済が精神的な負担になっている方にとっては、完済による安心感が大きな価値になることもあります。
住宅ローン、退職金、年金、運用は別々に判断するより、退職後の家計表としてまとめて見るほうが現実的です。完済するか、部分的に繰上返済するか、控除期間が終わるまで待つかは、ご家庭ごとの収入・支出・資産残高によって変わります。
次のような場合は、住宅ローンだけでなく退職後の家計全体で確認したほうが判断しやすくなります。
相談では、完済した場合、一部だけ繰上返済した場合、返済を続けた場合の手元資金を並べて確認します。商品選びより先に、「何歳時点でいくら残るか」を見える形にすることが大切です。
退職金で住宅ローンを返すか迷っている方へ
退職金を完済に使うか、一部だけ返すか、手元資金を残すかは、住宅ローン残高だけでは決められません。年金開始までの生活費、医療・介護費、保険、今後の収入見込みを一緒に確認すると、無理のない判断がしやすくなります。
住宅ローンの繰上返済か運用かの判断は、以下を総合的に考える必要があります。
一般的な目安としては、
・ローン金利が1.5%以上 → 繰上返済優先
・ローン金利が1%未満 → 運用も検討
いずれにせよ、生活費2年分以上の資金は必ず残しておきましょう。
数字だけでなく「ご自身の価値観」が大きな判断材料です。迷う場合は、個別の状況を踏まえて専門家にご相談ください。
なお、住宅ローンの返し方は
老後資金の余裕を大きく左右します。
「老後2000万円問題」が
自分に当てはまるのかどうかを
2026年時点で整理したい方は、
こちらの記事も参考にしてください。
→ 老後2000万円問題はもう古い?2026年に確認したい老後資金のズレ
一括返済が合う場合もありますが、退職後の生活費や医療・介護費の予備資金まで減らすと不安が残ります。完済後に手元資金がどれだけ残るかを先に確認してください。
残高だけで危険とは言い切れません。退職金の額、毎月返済額、再雇用収入、年金開始時期、手元資金によって判断は変わります。完済、一部繰上返済、返済継続を同じ条件で比較することが大切です。
はい。退職金をすべて返済に使わず、返済額を軽くしながら手元資金を残す方法です。定年後の生活費や予備資金を守りたい場合は、一括完済より現実的な選択肢になることがあります。
控除期間、ローン金利、返済額、退職後の所得を合わせて見ます。控除だけを理由に返済を遅らせるのではなく、手元資金と安心感のバランスで判断することが大切です。
この記事を書いた人・編集監修
Hajime Maeda。AFP、実務経験20年。退職金、老後資金、保険、住宅ローン、相続など、家計全体を整理する相談業務を行っています。記事では制度の一般論だけでなく、退職前後の実際の資金繰りで確認すべき順番を重視しています。
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