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退職金を受け取ったとき、多くの方が迷うのが「住宅ローンを一括返済するべきか、それとも運用に回すべきか」という問題です。
一見すると「借金は早く返した方が安心」と思われがちですが、低金利が続く現在の状況では必ずしもそうとは限りません。
ここでは、ファイナンシャル・プランナーとして多くの相談を受けてきた経験から、判断のポイントを整理して解説します。
この記事の要点
退職金で住宅ローンを完済するかどうかは、金利だけで決めない方が安全です。住宅ローン控除、手元資金、退職後の収入、老後生活費を確認してから判断する必要があります。
・ローン金利が2%以上 → 繰上返済を優先
・ローン金利が1%未満 → 運用を検討する余地あり
・ローン金利が0.5%前後 → 運用の方が有利な可能性大
ただし運用にはリスクが伴います。確実性を重視するなら、金利差が小さくても繰上返済が安心です。
・残期間10年以上 → 利息軽減効果が大きく、繰上返済の価値あり
・残期間5年未満 → 利息軽減効果は限定的、運用の方が有利な場合も
繰上返済をした後も、以下の資金を残すことが目安です。
控除がある場合は要注意です。
数字だけでは測れない「気持ちの安心」も重要です。
多少損をしても、繰上返済で安心を得ることがQOL(生活の質)向上につながることもあります。
「全額返済か、全額運用か」の二択ではありません。
退職後に住宅ローンを残すかどうかを考えるとき、見落としやすいのが住宅ローン控除です。住宅ローン控除は、住宅ローン等の年末残高などをもとに所得税から控除する制度です。したがって、退職金で年内に完済すると、その年の年末残高がなくなり、以後の控除を受けられなくなる可能性があります。
ただし、控除を残したいからといって、必ず繰上返済を先送りすべきとは限りません。退職後は給与収入が減り、所得税額そのものが小さくなることがあります。控除できる枠があっても、実際に差し引ける税額が少なければ、住宅ローン控除の効果は想像より小さくなります。
退職前後で確認したいのは、次の3点です。
特に退職した年は、給与、退職金、年金、再雇用収入が混在しやすくなります。年末調整で済む年と、確定申告で整理したほうがよい年が分かれることもあるため、「控除があるから返さない」「借金は嫌だからすぐ完済する」と一つだけの理由で決めないことが大切です。
退職金で住宅ローンを完済するかどうかは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
数字上は繰上返済が有利でも、手元資金が薄くなると、病気、介護、家の修繕、子や親への支援に対応しにくくなります。一方で、返済が精神的な負担になっている方にとっては、完済による安心感が大きな価値になることもあります。
住宅ローン、退職金、年金、運用は別々に判断するより、退職後の家計表としてまとめて見るほうが現実的です。完済するか、部分的に繰上返済するか、控除期間が終わるまで待つかは、ご家庭ごとの収入・支出・資産残高によって変わります。
住宅ローンの繰上返済か運用かの判断は、以下を総合的に考える必要があります。
一般的な目安としては、
・ローン金利が1.5%以上 → 繰上返済優先
・ローン金利が1%未満 → 運用も検討
いずれにせよ、生活費2年分以上の資金は必ず残しておきましょう。
数字だけでなく「ご自身の価値観」が大きな判断材料です。迷う場合は、個別の状況を踏まえて専門家にご相談ください。
なお、住宅ローンの返し方は
老後資金の余裕を大きく左右します。
「老後2000万円問題」が
自分に当てはまるのかどうかを
2025年時点で整理したい方は、
こちらの記事も参考にしてください。
→ 老後2000万円問題はもう古い?2026年に確認したい老後資金のズレ
一括返済が合う場合もありますが、退職後の生活費や医療・介護費の予備資金まで減らすと不安が残ります。完済後に手元資金がどれだけ残るかを先に確認してください。
控除期間、ローン金利、返済額、退職後の所得を合わせて見ます。控除だけを理由に返済を遅らせるのではなく、手元資金と安心感のバランスで判断することが大切です。
退職金と住宅ローンを一緒に整理したい方へ
この記事を書いた人・編集監修
Hajime Maeda。AFP、実務経験20年。退職金、老後資金、保険、住宅ローン、相続など、家計全体を整理する相談業務を行っています。記事では制度の一般論だけでなく、退職前後の実際の資金繰りで確認すべき順番を重視しています。
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