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社会保険料が下がる=必ず得? 選択制DCで「将来困る人」に共通する考え方

2026.01.09

選択制確定拠出年金(選択制DC)の説明で、必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。

「社会保険料が下がるなら、得ですよね?」

一見するともっともな疑問です。
しかしこの問いには、重要な前提の抜けがあります。

結論から言います。
社会保険料が下がること=必ず得、ではありません。

なぜ「得に見える」のか

選択制DCによって社会保険料が下がる理由は、仕組みとして明確です。

  • 給与の一部を拠出に回す
  • 標準報酬月額が下がる
  • その結果、社会保険料の負担が軽くなる

このため、

  • 手取りが増えたように感じる
  • 会社も負担が減る

という“目に見える変化”が起きます。
ここだけを切り取れば、確かに魅力的です。

しかし、社会保険料は「保険料」

ここで一度、立ち止まって考える必要があります。

社会保険料は、単なる税金ではありません。

支払っているのは、

  • 将来の年金
  • 病気やケガのときの保障
  • 万一のときの遺族への保障

これらを支える保険料です。

つまり、

下がる=保障の計算基礎も下がる

この事実を無視してはいけません。

影響を受けるのは「老後」だけではない

社会保険料が下がる影響は、老後の年金額だけにとどまりません。

医療・生活に関わる給付

  • 傷病手当金
  • 出産手当金

万一のときの保障

  • 障害年金
  • 遺族年金

これらはすべて、標準報酬月額をベースに計算されます。

つまり、目先の手取りが増える一方で、「いざというときの給付水準」も下がる可能性がある。

「将来困る人」に共通する考え方

ここで、選択制DCで後から違和感を覚えやすい人の共通点が見えてきます。

① 手取り増だけで判断している

今いくら増えるか、今月の負担がどう変わるか。
この視点だけで制度を評価すると、将来とのバランスを見誤りやすくなります。

② 社会保険を「コスト」としか見ていない

社会保険料を「できれば払いたくないもの」「下げられるなら下げたいもの」としか捉えていないケースです。
その結果、保障とのトレードオフを見落とします。

③ 「自分は大丈夫」と思っている

病気にならない前提、働けなくなることは考えない、家族に何かあっても何とかなる。
人は誰でも、不都合な将来を過小評価しがちです。

しかし、社会保険は「何かあったときのため」に存在する制度です。

誤解してはいけないポイント

ここで誤解してほしくないのは、「だから選択制DCは悪い制度だ」と言いたいわけではないということです。

重要なのは、

社会保険料が下がることの意味を理解したうえで、選択しているかどうか

理解して選ぶなら、それは合理的な判断です。
理解しないまま「得だから」「みんなやっているから」で選ぶと、後から違和感が残る。

関連記事:導入前に押さえるべき論点

上記を先に読むことで、選択制DCの全体像が立体的に見えてきます。

経営者・人事が持つべき視点

経営側が持つべき視点は、「社会保険料が下がるかどうか」ではありません。

  • 従業員に、どこまで説明できているか
  • 選ばなかった人も納得できているか
  • 制度が“会社都合”に見えていないか

この視点が欠けると、制度は静かに信頼を失っていきます。

次の記事では、制度設計の核心に入ります

次回は、「なぜ“全員一律”の制度設計が危険なのか」というテーマで、経営側の設計視点を掘り下げます。
選択制DCを「続く制度」にできるかどうかの分岐点です。

法人向け制度設計のご相談について

選択制確定拠出年金は、社会保険・年金・従業員の価値観が絡み合う非常に繊細な制度です。

「得か損か」ではなく、「自社・自社の従業員にとって成立するか」その整理からご相談いただけます。

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