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選択制確定拠出年金で 「得をする従業員」と「そうでない従業員」が分かれる理由

2026.01.08

選択制確定拠出年金(選択制DC)は、会社側の制度設計だけで評価されがちですが、本質は「従業員ごとに結果が変わる制度」です。

つまり、

全員が得をする制度ではない

この事実を導入前にどこまで理解しているかで、制度の評価は大きく分かれます。

従業員から最初に出てくる本音

制度説明会や個別相談の場で、従業員からよく出てくる言葉があります。

  • 「結局、得なんですか?損なんですか?」
  • 「やったほうがいい人って、どんな人ですか?」
  • 「正直、今の生活で精一杯なんですが…」

これらはすべて、自然で正直な反応です。

選択制DCは「良い・悪い」で判断する制度ではなく、「その人の状況に合うかどうか」で判断すべき制度だからです。

得をする従業員の特徴

まず、選択制DCと相性が良い従業員の典型像です。

① 中長期で物事を考えられる人

  • 老後資金を意識している
  • 将来のために今を少し抑える判断ができる

選択制DCは、将来に向けた制度です。短期視点ではメリットが見えにくい人ほど、評価が下がります。

② 一定の収入余力がある人

  • 生活費に大きな余裕はないが
  • 毎月の手取りが数千〜数万円減っても致命的ではない

選択制DCは、「余裕資金をどう振り分けるか」の制度です。日々の生活を削らなければ成り立たない場合、制度のメリットは感じにくくなります。

③ 社会保険の仕組みを理解できる人

  • 社会保険料がどう決まっているか
  • 将来の年金・保障とどうつながるか

これを理解できる人は、「今下がるもの」「将来影響するもの」を冷静に天秤にかけられます。

そうでない従業員の特徴

一方で、選択制DCと相性が悪くなりやすいケースも、はっきりしています。

① 目先の手取りを最優先せざるを得ない人

  • 子育て・住宅ローンなどで余裕がない
  • 毎月の手取り減少が強いストレスになる

この層にとって、「将来のため」という説明は、どうしても響きにくい。

② 近い将来、転職や退職を予定している人

  • 数年以内に会社を離れる可能性が高い
  • 長期で制度を活用できない

制度上は資産を持ち運べますが、心理的には「今の会社の制度に深く関わりたくない」と感じる人もいます。

③ 投資に対して強い不安や拒否感がある人

  • 元本割れが怖い
  • 金融商品を選ぶこと自体がストレス

選択制DCは、「投資判断を避けられない制度」です。この点を曖昧にしたまま導入すると、不満の種になります。

誤解されやすいポイント

「社会保険料が下がる=必ず得」ではない

選択制DCの説明でよくある誤解がこれです。

「社会保険料が下がるから、手取りが増える」
「=全員にとってプラス」

実際には、

  • 将来の年金額
  • 障害年金・遺族年金
  • 傷病手当金などの給付水準

これらにも影響します。

短期の手取り増だけを切り取る説明は、後から「聞いていなかった」という不満につながりやすい。

従業員説明で最も重要な視点

選択制DCの説明で、本来一番伝えるべきことはこれです。

「やる・やらない」は、どちらも正解になり得る

制度を押し付けない。選ばなかった人を否定しない。

この姿勢がないと、制度は従業員にとって「会社都合の仕組み」に見えてしまいます。

経営者が理解しておくべき現実

経営者の立場から見ると、選択制DCは「良い福利厚生」に見えます。

しかし従業員側では、

  • 人によって評価が真逆になる
  • 同じ説明でも受け取り方が違う

このギャップが存在します。

だからこそ、

「全員にとって得かどうか」ではなく
「選べる制度として成立しているか」

ここが、制度の成否を分けます。

次の記事では、さらに一段踏み込みます

次回は、「社会保険料が下がることの本当の意味」を制度・従業員双方の視点から整理します。

「なぜ得に見えて、後で違和感が出るのか」その構造を解説します。

法人向け制度設計のご相談について

選択制確定拠出年金は、制度の良し悪しではなく
「誰に向いていて、誰に向いていないか」を整理できるかが重要です。

従業員説明の設計、制度の位置づけ整理まで含めてご相談いただけます。

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