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生命保険の受取人、最後に見直したのはいつですか?|相続で「しまった」を防ぐために

2025.10.10

生命保険の受取人、最後に見直したのはいつですか?|相続で「しまった」を防ぐために

「保険の受取人なんて、契約したときに決めたままでいいでしょ?」
──実は、この“うっかり放置”が、後々の相続トラブルにつながることが少なくありません。

生命保険は、万一のときに残された家族の生活を守るもの。
でも、そのお金が本当に「守りたい人」に届くかどうかは、受取人の設定ひとつで変わってしまいます。

これまで数百件の相談を受けてきましたが、
「まさか元の奥さんに行くとは思わなかった」「子どもがいないから税金が高くなった」──そんな声を何度も聞いてきました。

今回は、現場で実際に起きた事例を交えながら、
受取人変更の重要性と、今すぐ見直してほしいポイントをお伝えします。

1|「受取人変更」を侮ってはいけない3つの理由

(1)生命保険金は“遺産”ではない

生命保険金は、「受取人固有の財産」として扱われます。 つまり、遺産分割協議の対象外。 遺言よりも確実に、特定の人に想いを託せる手段なのです。

(2)相続税の非課税枠を使える

「500万円 × 法定相続人の数」──これが生命保険金の非課税枠。 たとえば相続人が3人なら、1,500万円まで税金がかかりません。 上手に活用できるかどうかで、相続税額が大きく変わります。

(3)家族構成の変化に対応する

結婚・離婚・再婚・子どもの誕生や独立。
家族の形は変わっていくのに、保険証券は昔のまま──という方がとても多いのです。

大切なのは「変化に合わせて更新する」こと。
受取人を見直すだけで、将来のトラブルを防げます。

2|実際にあった「受取人トラブル」

ケース1|離婚したのに、元妻が受取人のまま

ある60代男性の例です。
20年前に離婚し、再婚したAさん。 古い保険証券の受取人は“元妻”のままでした。 Aさんが急逝したあと、3,000万円の保険金はすべて元妻へ。

再婚相手の奥様は当然納得できず、遺産分割協議でも揉めることに。
「離婚したら受取人も変更」──これは鉄則です。

ケース2|子どもがいないと税金が重くなる

65歳のBさん夫婦。ご主人が亡くなり、妻が受取人として5,000万円を受け取りました。 子どもはいません。

法定相続人は妻1人のみ=非課税枠500万円。
4,500万円が課税対象となり、相続税負担が想定以上に重くなりました。

もし子どもが2人いれば、非課税枠は1,500万円に。 相続税額は大きく軽減できたはずです。

ケース3|受取人が先に亡くなっていた

70歳のCさんは妻を受取人にしていましたが、妻が先に他界。 そのまま放置し、Cさんも数年後に亡くなりました。

結果、受取人がいない状態となり、保険金は「相続財産」扱いに。 遺産分割協議が必要になり、非課税枠も使えず、税負担が増える結果に。

3|受取人設定の基本ルール

原則1|配偶者と子どもを基本に

  • 相続税の非課税枠を活用できる
  • 配偶者控除(1億6,000万円まで非課税)との併用も可能
  • 遺産分割協議が不要

原則2|複数人を指定する場合は割合を明確に

例)妻50%・長男25%・次男25%
割合を明記しておくことで、のちのトラブルを防げます。

原則3|事実婚・内縁関係は要確認

多くの保険会社では、法律上の婚姻関係がない場合、配偶者として受取人に指定できません。 事実婚の場合は、事前に確認しておきましょう。

4|年代別・状況別の設定ポイント

30〜40代(子育て世代)

  • 受取人:配偶者
  • 目的:残された家族の生活保障
  • 子どもが生まれたら保障額も見直しを

50〜60代(子ども独立・相続対策期)

  • 受取人:配偶者+子ども按分
  • 非課税枠の最大活用と二次相続(配偶者の死亡時)も考慮

例: 妻2,000万円・子ども2人に各1,000万円と分けることで、二次相続時の税負担を軽減。

70代以降(相続整理期)

  • 配偶者の資産状況を踏まえ、子どもを受取人にすることも検討
  • 遺留分にも配慮してバランスの良い設計を

5|受取人変更の手続き方法

手続きの流れ

  1. 保険会社または担当者に連絡
  2. 必要書類(保険証券・印鑑・本人確認書類・変更届など)を提出
  3. 郵送または窓口で手続き
  4. 1〜2週間で完了通知を受領

注意点

  • 契約者と被保険者が異なる場合は、被保険者の同意が必要
  • 受取人本人の同意は不要
  • 複数の保険を契約している場合は全て確認

6|見直しをすべきタイミング

  • 結婚・離婚・再婚したとき
  • 子どもが生まれた/独立したとき
  • 配偶者が亡くなったとき
  • 相続税制が改正されたとき
  • 大きな資産を取得したとき

おすすめ: 年に一度、誕生日や年末などに「保険証券のチェック日」を設けると安心です。

7|専門家からのアドバイス

税理士の視点: 受取人設定で相続税が数百万円変わることも。試算は税理士に依頼を。

弁護士の視点: 特定の子どもだけを受取人にすると、他の相続人から遺留分請求を受ける可能性も。公平感のある設定を。

8|まとめ|「受取人の見直し」は家族への最後の思いやり

  • 家族構成の変化に応じて定期的に見直す
  • 相続税の非課税枠を最大限に活用
  • 二次相続まで視野に入れて設計する

「そのうち確認しよう」と思っているうちに、状況は変わっていきます。 たった10分の確認が、将来の安心につながります。 今すぐ、保険証券を開いて受取人をチェックしてみてください。

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※本記事は一般的な情報に基づくもので、実際の判断には各保険会社や税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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