【2025年版】年末調整書類の配布時期と税制改正ポイントを徹底解説

はじめに

毎年秋になると訪れる年末調整の季節。
「またあの大量の書類を準備しなきゃ…」と憂う人事担当の方も多いのではないでしょうか。

2025年（令和7年）の年末調整は、「103万円の壁」が「160万円の壁」に変わるなど、これまで以上に影響の大きい税制改正が盛り込まれています。
実際、私の顧客企業の担当者からも「従業員からの問い合わせが急増しそうで不安」と相談をいただいています。

この記事では、配布時期の最適なタイミングと法改正のポイントを、現場で役立つ形で整理しました。

1｜年末調整書類の配布スケジュール

年末調整書類の配布は、例年 10月中旬〜11月上旬 が一般的です。

時期	実施内容
10月上旬	国税庁から新しい様式が公開
10月中旬	社内での準備・印刷
10月下旬〜11月上旬	従業員へ配布・説明会
11月下旬	提出期限（社内で設定）
12月末	年末調整の計算・確認
翌年1月31日	税務署へ法定調書を提出

2025年は“例年より早め”が安心

今年は申告書の様式自体が大幅に変更されるため、10月第3週〜第4週の配布開始をおすすめします。
実際に私がサポートしているある製造業の企業では、毎年ぎりぎりで配布していたところ、従業員からの質問が殺到し、担当者が残業続きになってしまったことがありました。今年は改正内容が多いため、なおさら早めがカギです。

2｜2025年の税制改正ポイント

基礎控除の引き上げ

最大95万円まで段階的に拡大。特に年収200万円前後の層に恩恵が大きくなります。

給与所得控除の拡大

低〜中所得者層の手取りが増える仕組みに。パート・アルバイト世帯にも影響大。

特定親族特別控除（新設）

大学生年代（19〜23歳）の扶養親族に対して25万円控除。
私のお客様でも「子どもが大学に入り仕送りが増えたので助かる」という声をよく聞きます。

様式の一本化

これまで複数枚だった申告書が1枚に集約。従業員からも「書きやすくなった」と好評になりそうです。

3｜必要な年末調整書類（2025年版）

1. 給与所得者の扶養控除等（異動）申告書
   翌年分を11月下旬に配布
2. 給与所得者の基・配・特・所申告書（新様式）
   10月下旬〜11月上旬配布
3. 保険料控除申告書
   保険会社から送られてくる控除証明書の添付が必須です。
   毎年、「生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書を紛失してしまった」という問い合わせが少なくありません。再発行は可能ですが数日かかる場合もあるため、届いたらすぐに保管場所を決めて管理しておくのがおすすめです。
4. 住宅借入金等特別控除申告書
   税務署から本人宛に直接送付

4｜効率的な配布と従業員対応のコツ

• 改正内容をわかりやすく共有
  管理職・担当者にまず説明し、従業員向けには「改正早わかりシート」を用意すると質問が減ります。
• 段階的な情報提供
  9月下旬：改正概要 → 10月上旬：具体的変更点 → 配布時：記入例を提示
• デジタル化の活用
  ペーパーレス年末調整は入力ミスも減り、提出・回収も効率化できます。
  特に今年は様式変更で混乱しやすいため、可能なら電子対応を検討してください。

5｜注意すべきポイント

• 定額減税は2025年分では対象外（問い合わせに備えて説明準備を）
• 「103万円の壁」が「123万円の壁」へ実質的に変更
• 健康保険の被扶養者認定基準（19〜23歳）は150万円未満に改正予定

よくある質問（実務現場での声）

Q1. 書類配布が遅れたらどうする？
→ 11月中旬までなら対応可能。ただし提出期限を短縮するなど工夫を。

Q2. 特定親族特別控除の対象は？
→ 19〜23歳の大学生年代、年間所得100万円以下の子ども。

Q3. システム改修が間に合わない場合は？
→ 国税庁の「年末調整計算シート（Excel版）」を利用すれば手計算でも対応可能。

まとめ

2025年の年末調整は、例年以上に複雑です。
しかし「早めの準備」「わかりやすい説明」「デジタル化」の3つを押さえれば、スムーズに進められます。

私自身も企業担当者から「どう説明すれば社員が理解してくれるのか」という相談を数多く受けます。もし貴社でも不安がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。現場に即した対応策をご提案いたします。

参考リンク
国税庁 年末調整がよくわかるページ
令和7年度税制改正（所得税控除の見直し）