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【2026年4月】在職老齢年金の基準額が「51万円 → 65万円」へ | 月給50万円の人は手取りがどう変わる?

2026.03.02

※2026年4月から、在職老齢年金の「支給停止が始まる基準額」が 51万円 → 65万円 に変わります。

【2026年4月】在職老齢年金の基準額が「51万円 → 65万円」へ
月給50万円の人は手取りがどう変わる?

結論だけ先に言うと、「賃金+老齢厚生年金」が月51万〜65万円に入っている人は、改正後に支給停止がゼロになりやすく影響が大きいです。

※調整されるのは「老齢厚生年金」のみ(老齢基礎年金は対象外)。特記ない限り、金額の試算は概算です。
※基準額は毎年度、賃金の変動に応じて改定されます。

1|仕組み(これだけ)

支給停止額(老齢厚生年金)=(賃金 + 老齢厚生年金 − 基準額)× 1/2

この「基準額」が、2026年4月から 51万円 → 65万円に引き上げられます。

基準額(月)
改正前:51万円
改正後:65万円

※65万円を100%として比率表示( +14万円

2|月給50万円の人は「いくら戻る」?(具体例)

ケースA:賃金50万円+老齢厚生年金10万円

賃金(月) 50万円
老齢厚生年金(月) 10万円
合計 60万円

改正前(基準51万円):超過 60−51=9万円 → 停止 9×1/2=4.5万円 → 受取 10−4.5=5.5万円
改正後(基準65万円):合計60万円は基準内 → 停止 0円 → 受取 10万円

改正前の支給停止

▲4.5万円/月

→ 年間 ▲54万円

改正後

停止なし

→ 年間54万円分が戻る

ケースA:内訳(万円・比率表示)

改正前

賃金 50
5.5
4.5

改正後

賃金 50
年金 10
■ 賃金
■ 受取年金(改正前)
■ 支給停止
■ 受取年金(改正後)

ケースB:賃金50万円+老齢厚生年金12万円(該当者が多い)

賃金(月) 50万円
老齢厚生年金(月) 12万円
合計 62万円

改正前:超過 62−51=11万円 → 停止 11×1/2=5.5万円 → 受取 12−5.5=6.5万円
改正後:合計62万円は基準内 → 停止 0円 → 受取 12万円

改正前の支給停止

▲5.5万円/月

→ 年間 ▲66万円

改正後

停止なし

→ 年間66万円分が戻る

ケースB:内訳(万円・比率表示)

改正前

賃金 50
6.5
5.5

改正後

賃金 50
年金 12

ケースC:賃金55万円+老齢厚生年金15万円(役員・経営者に多い)

賃金(月) 55万円
老齢厚生年金(月) 15万円
合計 70万円

改正前:超過 70−51=19万円 → 停止 19×1/2=9.5万円 → 受取 15−9.5=5.5万円
改正後:超過 70−65=5万円 → 停止 5×1/2=2.5万円 → 受取 15−2.5=12.5万円

改正前の支給停止

▲9.5万円/月

→ 年間 ▲114万円

改正後の支給停止

▲2.5万円/月

→ 年間 ▲30万円(→84万円改善)

3|夫婦で注意:判定は「世帯」ではなく「個人」

在職老齢年金は、夫婦の収入を合算して判定しません。それぞれの賃金と老齢厚生年金で個別に計算されます。

ケースD:共働き夫婦(夫63歳・妻61歳)

夫(63歳) 妻(61歳)
賃金(月) 50万円 35万円
老齢厚生年金(月) 14万円 10万円
合計 64万円 45万円

▼ 夫の計算

改正前:超過 64−51=13万円 → 停止 13×1/2=6.5万円 → 受取 14−6.5=7.5万円
改正後:合計64万円は基準内 → 停止 0円 → 受取 14万円(全額支給)

▼ 妻の計算

改正前:合計45万円 < 基準51万円 → 停止 0円(元々減額なし)
改正後:合計45万円 < 基準65万円 → 停止 0円(変更なし)

▼ 世帯のインパクト

改正前:世帯の年間損失

▲78万円/年

夫 ▲6.5万×12 = ▲78万 / 妻 0円

改正後:世帯の年間損失

0円

夫婦ともに全額支給 → 年間78万円の改善

妻は改正前から影響がありませんが、夫の年金が年間78万円分回復します。このケースは当事務所のお客さまの中でも最も多いパターンのひとつです。

4|結局、誰がいちばん得をするのか?
合計額(月額) 改正による影響
51万円以下 もともと支給停止が発生しにくい(関係の変化は小さい)
51万~65万円 支給停止がゼロになりやすい(影響が大きい)
65万円超 支給停止額が小さくなる(改善)

最大の恩恵は「月51万〜65万円」の層に集中します。元管理職の再雇用フルタイムや中小企業の役員など、まさに50代後半〜60代の現役世代がここに当たります。

5|年間改善額の比較(4ケースまとめ)
賃金 年金 合計 改正前
停止額/月
改正後
停止額/月
年間改善
A 50万 10万 60万 ▲4.5万 0円 +54万円
B 50万 12万 62万 ▲5.5万 0円 +66万円
C 55万 15万 70万 ▲9.5万 ▲2.5万 +84万円
D(夫) 50万 14万 64万 ▲6.5万 0円 +78万円

※すべて厚生労働省の制度ルール(超過分の半額を支給停止)に基づく計算。老齢基礎年金は対象外のため含んでいません。

6|よくある誤解

「65万円を超えたら逆に損するのでは?」

いいえ。厚生労働省の資料には「65万円を超えても、実際に支給される年金額と賃金の合計額はなだらかに増加する仕組みであり、手取り収入が減少することはありません」と明記されています。「働けば働くほど損」にはなりません。

「老齢基礎年金も減らされる?」

いいえ。調整(支給停止)の対象は老齢厚生年金のみです。老齢基礎年金は一切減額されません。

「給料が減らされる?」

いいえ。基準額を超えた場合に調整されるのは年金であり、給与には影響ありません

7|まとめ
改正施行日 2026年(令和8年)4月
根拠法令 令和7年年金制度改正法
旧基準額 月51万円
新基準額 月65万円(+14万円)
調整対象 老齢厚生年金のみ(老齢基礎年金は対象外)
給与への影響 なし

「働くと年金が減るから損」——この思い込みは、多くの方にとって過去のものになります。

定年後の働き方と年金の受け取り方は、ご夫婦のライフプラン全体の中で考えることが重要です。「いくら働けるか」だけでなく、「どう暮らしたいか」から逆算して設計していくことで、より納得感のあるセカンドライフが実現できます。

「自分の場合はどうなるのか?」が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。ご夫婦の収入・年金・将来の暮らし方を踏まえて、具体的な数字でシミュレーションいたします。

「ねんきんネット」でも試算が可能ですが、65万円の新基準額での試算は2026年4月以降に対応予定です。


出典:厚生労働省・日本年金機構「在職老齢年金制度の見直しについて」(2026年1月版)
計算根拠:支給停止額 =(賃金+老齢厚生年金 − 基準額)× 1/2(同資料記載の計算方法に基づく)
年金のご相談:日本年金機構コールセンター、全国の年金事務所・街角の年金相談センター

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