物価高時代の家計防衛術|50代からの支出見直しチェックリスト
「気づけば貯金が増えない」「なんだか昔より苦しい」──
名古屋のご相談現場でも、50代の方からこの声が増えています。電気代・食費・日用品…“逃げられない支出”が上がる今こそ、固定費の体質改善で家計を守るのが王道です。
ここでは、私が実務で使う視点をそのままに、今日から着手できる見直しリストをまとめました。
ポイントは「無理をしない・効果の大きい順・夫婦で共有」です。
1|なぜ50代からの見直しが重要か
- 収入の頭打ち:ベースアップが見込みにくい時期。増やすより「漏れを止める」。
- 老後までの猶予が短い:60歳までの5〜10年がラストスパート。
- 支出が固定化:「なんとなく続けている契約」が効いてくる年代。
2|チェックリスト:今すぐ見直すべき12項目
※削減目安は一般例。実額はご家庭の状況次第です。
項目1|通信費(携帯・インターネット)
現状チェック
- 携帯料金が月5,000円以上
- 大手キャリア&プラン数年放置
- 家族がバラバラ契約
見直しポイント
- 格安SIM(3,000円/台前後)へ乗換検討
- データ使用量に合わせてプラン最適化
- 家族割/固定回線セット割
削減目安:月3,000〜5,000円
項目2|保険料(生命保険・医療保険など)
現状チェック
- 加入時から見直しなし/月3万円超
- 子ども独立後も死亡保障が高額のまま
見直しポイント
- 必要保障額を再計算(独立後は大幅減も)
- 高額療養費制度を踏まえ医療は重複整理
- 貯蓄型→掛け捨て型の使い分け
目安:死亡1,000〜2,000万円/医療は入院日額5,000円前後で足りるケース多数
削減目安:月10,000〜20,000円
項目3|電気・ガス
見直しポイント
- 会社・プラン比較(電力自由化/セット割)
- 時間帯別プランの活用
- 古い家電は省エネ機種へ更新検討
即効ワザ
- エアコンのフィルター月1清掃
- 冷蔵庫は設定「中」/照明LED化
削減目安:月2,000〜4,000円
項目4|サブスク
- 使っていないものは即解約
- 動画サービスは1〜2つに集約
- 年払い割引の活用
削減目安:月2,000〜5,000円
項目5|自動車関連
- 週1以下の利用×月3万円超なら、カーシェア比較
- 車両保険の要否/等級見直し
- 軽への乗換/複数台→1台へ
削減目安:月20,000〜50,000円(手放した場合)
項目6|食費
- 週の献立を先に決める/買い物はリスト化
- まとめ買い&冷凍/外食は月2回目安
- お弁当は「夕食の残り活用」で無理なく
削減目安:月10,000〜20,000円
項目7|日用品・消耗品
- ドラッグストアの特売・PB商品
- ネット定期便(5〜15%オフ)
- 高還元デーにまとめ買い
削減目安:月3,000〜5,000円
項目8|趣味・娯楽
- 優先順位を決めて取捨選択
- 使わない会員権は解約/図書館・公共施設活用
楽しみをゼロにしない。メリハリが継続のコツ。
削減目安:月5,000〜10,000円
項目9|住宅ローン
- 借り換え検討:金利差0.5%以上残債1,000万円以上残期間10年以上
- 同一銀行でも金利交渉余地あり
- 繰上返済の使いどころを見極め
削減目安:月5,000〜15,000円
項目10|クレジットカード年会費
- 使わないゴールドは解約
- 年会費無料カードに集約しポイント効率UP
削減目安:年1万〜3万円
項目11|新聞・雑誌
- 電子版や図書館活用で代替
- 「読む習慣が途切れたもの」は見直し
削減目安:月3,000〜5,000円
項目12|金融手数料
- ネット銀行の無料振込枠を活用
- 投信は低コスト(信託報酬1%未満)へ
- ATM手数料は「払わない運用」を設計
削減目安:月1,000〜3,000円
3|実践フロー:3ステップで体質改善
ステップ1|現状把握(1週間)
- 1か月分の明細を洗い出し、固定費/変動費に分類
- 家計簿アプリ/スプレッドシートで可視化
ステップ2|優先順位付け(1日)
- 高:通信・保険・サブスク(効果大×手続き簡単)
- 中:電気ガス・日用品・新聞(効果中×少し手間)
- 低:車・住宅ローン(効果大×検討に時間)
ステップ3|実行→習慣化(1〜3か月)
- 1か月目:高優先から着手
- 2か月目:中優先に拡張
- 3か月目:効果測定→微調整
4|年代別の要点
50〜54歳
- 教育費ピーク。無駄の排除と貯蓄率UPが最優先
- 目標:月3万〜5万円の圧縮
55〜59歳
- 教育費が落ち着いたら“浮いた分”を老後資金へ自動振替
- 目標:月2万〜4万円の圧縮
5|ケーススタディ(Aさん夫婦・55歳/子ども独立)
| 項目 |
見直し前 |
見直し後 |
削減額 |
| 携帯 |
16,000 |
6,000 |
-10,000 |
| 生命保険 |
38,000 |
18,000 |
-20,000 |
| 電気・ガス |
22,000 |
18,000 |
-4,000 |
| サブスク |
6,500 |
2,000 |
-4,500 |
| 自動車保険 |
12,000 |
8,000 |
-4,000 |
| 食費 |
80,000 |
65,000 |
-15,000 |
| 日用品 |
15,000 |
11,000 |
-4,000 |
| 新聞 |
4,500 |
0 |
-4,500 |
| 合計 |
380,000 |
314,000 |
-66,000 |
年間削減:792,000円 / 10年で:7,920,000円
※実数字は各ご家庭で異なります。個別設計が重要です。
6|よくある失敗と対策
- 全部一気にやって挫折:効果が大きい順に1つずつ。
- 削りすぎてストレス:楽しみは残し、無駄だけを削る。
- 元に戻る:月1回「家計チェックデー」をカレンダーに。
- 夫婦で温度差:「月3万円圧縮」など具体目標を共有。
7|削減したお金の“使い道”設計
- 最優先:老後資金(iDeCo/新NISAの非課税を軸に)
- 緊急資金:生活費6か月〜1年分を流動性高い預金で
- 自己投資:健康(運動・人間ドック)と学び直し
8|定期メンテの習慣
- 春(4月):前年度総括/保険更新/携帯・電気プラン
- 秋(10月):年末までの支出予測/来年予算/ボーナス設計
- 毎月:カード明細チェック&“無駄ゼロ”確認
【免責】本記事は一般的情報です。制度・料金・金利等は変更の可能性があるため、最新の条件とご家庭の状況に合わせて必ず個別にご確認ください。必要に応じて税理士・社労士など専門家と連携しながらご案内します。