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定年退職後、「年金生活で医療費が払えるだろうか」「がんや手術で多額の出費になったらどうしよう」といった不安を抱える50~60代の方は多いのではないでしょうか。
しかし、日本には「高額療養費制度」という、医療費の自己負担を大幅に軽減する公的制度があります。これを正しく理解し、民間医療保険と上手に組み合わせることで、定年後の医療費不安は大きく軽減できます。
この記事では、高額療養費制度の仕組み・2025年の改正状況・民間保険との使い分け・ケーススタディを分かりやすく解説。定年後の安心を築くための具体的なアクションプランをご紹介します。
年を重ねるにつれて、病院への通院や入院の頻度が増えるのは自然なことです。特にがんや心疾患、脳卒中など重大な病気は高齢期に発症しやすく、治療費が数十万~数百万円にのぼることもあります。
「3割負担だから大丈夫」と考えがちですが、定年後は収入が下がるため、自己負担上限=高額療養費制度の活用が重要です。
高額療養費制度とは、1か月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。
| 所得区分 | 年収目安 | 月の自己負担上限 |
|---|---|---|
| 区分ア(高所得) | 約770万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
| 区分イ | 約370万~770万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
| 区分ウ(一般) | 約370万円未満 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
| 区分エ(非課税) | 住民税非課税 | 57,600円 |
| 区分オ(低所得) | 年収80万円以下等 | 35,400円 |
例:年収500万円の65歳男性が150万円の治療を受けた場合
通常3割負担なら45万円ですが、高額療養費制度により約17.7万円まで軽減されます。
70歳になると外来・入院の合算で世帯単位の上限が適用され、負担がさらに軽くなります。
| 所得区分 | 外来+入院の月上限 |
|---|---|
| 一般所得者(約156万円未満) | 57,600円 |
| 低所得者Ⅱ(非課税) | 24,600円 |
| 低所得者Ⅰ(非課税・低収入) | 15,000円 |
2025年度の予算案では自己負担上限の引き上げが検討されましたが、家計への影響を考慮し8月からの改正は見送りとなりました。今後の制度変更には引き続き注意が必要です。
→これらは民間医療保険で補う必要があります。
| 場面 | 推奨保険 |
|---|---|
| 先進医療の高額技術料 | 先進医療特約付き医療保険 |
| 個室入院や快適な療養 | 差額ベッド代補償特約 |
| 入院による収入減少 | 入院日額保険・がん保険 |
ケース1:70歳・大腸がん手術
100万円の治療 → 高額療養費適用で57,600円+差額ベッド代など
実質負担:約12.3万円
ケース2:65歳・心臓手術
150万円の治療 → 高額療養費適用で約17.7万円+差額ベッド代など
実質負担:約28.2万円
定年後の医療費対策は、「高額療養費制度」+「民間医療保険」の二本立てが基本です。
まずは自分の所得区分と保険内容を確認し、安心できる医療費対策を始めましょう。
※本記事は2025年8月時点の情報に基づいています。制度の詳細や改正については、加入している健康保険組合や市区町村、専門家にご確認ください。
参考資料:
公益財団法人 生命保険文化センター/全国健康保険協会/日本経済新聞(2024年12月)
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