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住宅購入を考えるとき、ほとんどの方は「物件の立地・価格・ローン金利」に目が向きがちです。
しかし、保険・金融の現場で30年、多くの購入者と向き合ってきた私から言わせていただくと、真に検討すべきは「税金・保障・補償」の設計です。
つまり、次の3点です:
住宅ローン控除(税優遇)
団体信用生命保険(ローン返済リスクへの備え)
火災保険(災害リスクに対する補償)
これらを「なんとなく」「言われるまま」に決めてしまうと、数十万円~数百万円単位の損失を被ることもあります。
住宅ローン控除とは、一定の要件を満たした場合に年末残高の0.7%を所得税等から控除できる制度です(2024年度以降の制度)。
しかし、「住宅ローン=控除が使える」と思い込んでいる方は非常に多く、以下の要件を満たさず1円も控除を受けられなかったケースもあります。
合計所得2,000万円以下
床面積が50㎡以上(省エネ基準を満たせば40㎡でも可)
返済期間10年以上のローン
取得から6か月以内に居住開始
登記上の持分と借入金の返済割合が一致していること
特に共働きでペアローンを組む場合は、各人の持分比率と借入金額の設計次第で、控除額が減少または無効になるケースもあります。
✅ 控除を最大化するには「借入の設計段階から税制を見据える」ことが重要です。
住宅営業やローン担当ではなく、税制とライフプランを横断的に見られる専門家の視点が必要です。
住宅ローンには原則として「団信(団体信用生命保険)」への加入が求められます。
これは、契約者が死亡・高度障害になった場合に、**住宅ローン残債が免除される“生命保険”**です。
しかし、ここに大きな誤解があります。
【基本型】死亡・高度障害のみ保障(がん・病気・障害は対象外)
【がん団信】がん診断で残債がゼロに。ただし“悪性新生物”限定や所定条件あり
【三大疾病団信】がん・脳卒中・急性心筋梗塞をカバー。ただし“状態条件”付きの場合がある
保障の“つもり”で契約した内容が、実際には支払い対象外だったケースも珍しくありません。
住宅ローンの審査が通っても、団信に加入できなければ融資は実行されません。
既往歴がある方は、「ワイド団信」などの代替選択肢があるかも含め、事前確認が不可欠です。
また、「団信があるから民間保険はいらない」と保障を削ってしまい、
実際にがんで長期通院が必要になった際、「団信では対応されなかった」と後悔するご相談も少なくありません。
✅ 団信は“住宅ローン残高”の保障。家族の生活・教育・医療までは守りません。
住宅ローン契約時には、火災保険の加入が必須となります。
しかし、その契約が立地・構造・リスクに対して適切かどうかを見直す人はほとんどいません。
結果、火災・風災・水災・破損事故が起きた際に「補償されない」「保険金が足りない」という事態が続出しています。
特に「川沿い」「低地エリア」「旧市街地」などは、ハザードマップ上で水災・浸水・土砂災害リスクが明確に示されています。
ところが、水災補償は火災保険に自動で付帯されないことが多く、「つけていなかった」場合の自己負担が300万円以上に及ぶ事例もあります。
✅ 自治体のハザードマップに加え、弊社では独自の視覚化ツールを用いて、分かりやすくリスクをご説明しています。
保険金支払いで多いのはむしろ以下のようなケース:
台風・突風による屋根・外壁の破損(風災)
浸水やゲリラ豪雨による床上被害(水災)
内装や家電の破損事故(破損等リスク)
子どものいたずら・家具の落下による損傷(偶発事故)
火災保険の中身を精査せず、「勧められたまま」加入していると、いざという時に何も出ないことがあります。
「木造=保険料が高い」と誤認されがちですが、保険料は建物の構造・耐火性能・築年数などの要素で料率が異なる仕組みです。
たとえば、省令準耐火構造や鉄骨系の建物は料率が低く抑えられる傾向があります。
つまり、建物に合った設計・見積を出せる保険担当者かどうかで、保険料の差が出ます。
住宅購入は人生の大イベントです。
ただしその裏側には、
税の優遇制度(住宅ローン控除)の正確な設計
ローン返済不能リスクへの備え(団信+民間保障)
暮らしを守る保険の最適化(火災・水災・個人賠償など)
といった、目に見えない“お金の設計”が不可欠です。
✅ 住宅営業・金融機関ではカバーしきれない領域だからこそ、
✅ 専門家の知見を活かし「買ってから後悔しない」準備をしておく。
それが、家という“資産”を“安心”に変える第一歩です。
当事務所では、住宅購入前の「税・保障・補償」の総点検サービスをご提供しています。
ハザードマップや団信設計、火災保険の補償診断など、物件契約前に一度お持ち込みください。
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こちらからお問い合わせください。