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60歳、保険は解約すべき? ──退職前後に見直すべき「保障の現実」と判断基準

2025.07.15

1|60歳は「保険の見直しタイミング」──でも“全部解約”は要注意

60歳前後は、退職や子どもの独立を機に「保険、そろそろいらないのでは?」と感じやすいタイミングです。

でも、「もう要らない」と解約してしまって、本当に後悔しないでしょうか?

現実はもっと複雑です。保障が不要になっている部分がある一方で、「見えにくいリスク」が新たに出てくるのもこの年代です。

2|勤務先の団体保険、退職後も継続できる?注意点は?

会社を通じて加入していた「団体保険」は、退職後も継続できる場合があります。
しかし、以下の点に注意が必要です:

  • 同じ保険料で継続できるとは限らない
    • 在職中の団体割引(最大30〜40%)がなくなり、
    • 年齢別の個別料率に切り替わるため

加入されている保障内容や勤務先の団体制度によっては、保険料が在職時の3〜4倍に増える可能性もあります。

例:
在職中(月額2,000円)→ 団体割引+年齢一律料率
退職後(64歳、月額6,000〜8,000円)→ 割引なし+年齢別料率

保障内容も古いままの場合があり、以下の点も確認が必要です:

  • 旧医療保険:対象となる手術が限られている(約款で明記されたもののみ)
  • 現在主流の医療保険:公的健康保険の対象手術であれば全額給付の設計

また、
以前の医療保険はレーシックが対象だったのに、
今の保険はレーシックを支払対象外(美容扱い)とするケースが増加しています。

3|子どもが独立=死亡保障は不要、は本当?

「子どもが独立したから死亡保障はいらない」と考えるのは自然ですが、以下の点を再確認しておきましょう。

  • 残された配偶者の生活費は?
    → 遺族年金だけで生活が成り立つか、実際の金額でシミュレーションしていますか?
  • 住宅ローン完済でも、生活費や医療費、介護費は現金で必要
  • 配偶者が一人になった場合の生活費・備えをどうするか?
    → 死亡保障をゼロにする前に、配偶者の今後20〜30年の生活を再設計することが重要です。

4|資産がある=保障は不要、とは限らない

退職金や貯蓄がある場合でも、次のような要因で想定以上に資産が目減りする可能性があります。

  • インフレによる実質資産の減少
    例:年2%のインフレが10年間続けば、1000万円の購買力が約820万円に
  • 高齢になるほど医療費・介護費用の支出が増える
  • 高額療養費制度で全額カバーできるわけではなく、毎月の自己負担が続く
  • 自由診療や先進医療を選ぶ可能性も

そのため、現時点での資産額だけではなく、“今後30年の支出シナリオ”も踏まえた保険設計が必要です。

5|60歳からの保険見直し、具体的な選択肢は?

「もう全部解約でいいや」と考える前に、下記のように“整理”して考えるのが現実的です。

見直し方法 概要 向いている人
解約 保険を全てやめ、資金を自由に使えるようにする 資産が潤沢で、リスクを自力でカバーできる
減額 保険金額を減らして保険料を下げる 最低限の保障は残しておきたい人
払済保険 保険料支払いをやめて、保障だけ残す 今後の支払い負担をなくしたい人
転換・変更 医療・がん保険など必要な保障に見直す リスクに応じて保障を最適化したい人

6|まとめ|“解約ありき”ではなく「目的に応じて整理を」

60歳という節目は、「保険をやめる」タイミングではなく「保険を整える」タイミングです。

「保障はいらない」ではなく、
「これからの人生で、どんなリスクに備えるか?」を軸に、
「どの保障を、どんな形で残すか?」を選んでいきましょう。

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団体保険の継続条件や、今の保障内容が時代に合っているかどうか。
将来の医療費や生活設計をふまえた上で、冷静に「残す・変える・やめる」を整理するお手伝いをしています。

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