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離婚や再婚は、人生の大きな節目です。
それと同時に、「保険の見直し」が必要になる重要なタイミングでもあります。
しかし、多くの方が「名義変更」「受取人の変更」「財産分与としての保険の扱い」について正しく理解しておらず、あとで深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。
本記事では、保険の専門家として20年の現場経験から、
離婚・再婚時に見落とされやすい落とし穴と、その対策についてお伝えします。
保険契約には「契約者」「被保険者」「受取人」の3者が存在します。
たとえば…
という構成だった場合、離婚後にこのまま放置しておくと
「死亡時に元妻に保険金が支払われる」という事態になります。
再婚して新たな家庭を築いたとしても、契約内容を変更しない限り、保険金の行き先は“前の家族”のままなのです。
【契約者(名義)を変更する場合】
・保険会社への「契約者変更届」が必要
・解約返戻金のある保険では、贈与税が発生する可能性あり
・離婚時の財産分与に含める場合は基本非課税だが、過大評価されると税務調査の対象にも
【受取人を変更する場合】
・契約者が任意に変更可能
・変更自体には贈与税はかからないが、
受取人の続柄によって、将来の保険金の課税(相続税・所得税)が変わる
離婚後や再婚時、保険の受取人を「子ども」に変更する方は少なくありません。
しかしこれは、善意に見えて非常に危うい選択です。
✅ 民法第824条:未成年の財産は法定代理人が管理
✅ 未成年者は単独で保険金を請求できない
✅ 法定代理人は「親権者」がなるが、家庭裁判所の判断で誰でもなれる可能性あり
【⚠️ 実際に起こり得る流れ】
1.契約者が子を受取人に指定
2.契約者が死亡
3.子は未成年 → 保険金請求権なし
4.元配偶者が「法定代理人」として保険金を請求
5.子のための保険金が、事実上、元配偶者に渡る
担当者に受取人変更を申し出た際、
「お子さんを受取人にされますか?」と案内されることがあります。
これは一見“親切”に見えますが、担当者が法務・税務・民法実務を理解していないケースが多いのが実情です。
担当者が知らないだけで、
「本当に保険金を渡したかった相手」に届かなくなる――
という最悪の事態を引き起こします。
子どもに確実に保険金を残すための主な方法比較
| 方法 | 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 保険金信託 | 信託会社が保険金を管理し、使途やタイミングを指定できる | 計画的に使える/浪費や使い込み防止 | 信託契約・手数料が必要 |
| 遺言+信託 | 遺言で受取人や信託内容を指定し、法的拘束力を持たせる | 自由設計が可能/相続トラブルを回避 | 公正証書遺言での作成が望ましい |
| 信頼できる成人を受取人にする | 子どもの代わりに一時的に保険金を預け、子へ支援してもらう | 手続きが簡単/柔軟な対応が可能 | 使い道は信頼ベースになるため注意 |
※設計や契約方法によって実行可否や課税関係が変わるため、専門家への相談が推奨されます。
離婚・再婚は「人生設計のリセット」でもあります。
しかし、多くの人が「保険」だけは過去の設計図のまま放置してしまっているのが現実です。
特に、未成年の子どもを受取人にしてしまった場合、
制度を知らなければ“他人に奪われる”ような結果になることも。
制度・税制・民法・信託… 保険の裏にある設計の知識が、人生を守ります。
ご自身やお子様の未来のために、一度プロの視点で整理してみませんか?
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