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がん保険の“現場の真実”──備えていた人と備えていなかった人の差

2025.11.22

がん保険の“現場の真実”──備えていた人と備えていなかった人の差

がん保険は「入るべきか」「不要か」でよく議論が分かれます。

ただ、約20年にわたり保険の現場に関わり、実際の支払いに立ち会ってきた立場からお伝えすると、そこには机上の議論では見えてこない“はっきりとした差”があります。

このページでは、私が担当した実例の中から、個人が特定されないよう匿名・属性を加工したうえで、「備えていた人がどのように守られたのか」をいくつかご紹介します。

がん保険を勧誘するためではなく、ご自身で判断するための材料として読んでいただければ幸いです。

1|がん保障の実例をお伝えする前提

まず最初にお伝えしたいのは、ここで紹介する内容は、すべて実際に支払いに関わったケースであるということです(もちろん、個人が特定されないよう一部の条件は加工しています)。

また、これらはあくまで「一部の事例」であり、すべての方が同じような給付を受けられる、あるいは同じような経過をたどるという意味ではありません。

ただ、がん保険の「机上のメリット」ではなく、現場でどうお金が動き、何が守られたのかを具体的にイメージしていただくには役立つはずです。

2|悪性リンパ腫と闘った28歳女性:若さは免罪符にならない

プロフィール(匿名)

  • 女性・20代後半
  • 正社員(医療系職種)
  • 加入保障:終身年金型のがん保険(現在は販売停止のタイプ)

ご本人は当初、

「まだ20代ですし、がんはさすがに早いですよね」

と笑いながら話をされていました。正直、それは多くの方に共通する感覚だと思います。

しかし現実には、突然の悪性リンパ腫の診断。抗がん剤治療が始まり、数か月にわたり仕事を休まざるを得ない状況になりました。

実際に支払われた主な給付金

  • がん診断一時金
  • 入院給付金(複数回)
  • 抗がん剤治療給付金(継続)

経済的な不安が最小限で済んだことで、治療に専念することができました。退院後は体調も回復し、ご結婚・出産も経て、現在は元気に過ごしていらっしゃいます。

印象的だったのは、退院後にお会いした際のこの一言です。

「まさか自分がこうなるなんて思っていませんでした。保険に入っていて本当に助かりました」

3|肺腺がん・陽子線治療:287万円の自由診療を可能にした保障

プロフィール(匿名)

  • 男性・60代
  • 名古屋市在住・会社員
  • 罹患:肺腺がん
  • 治療:名古屋西部医療センターでの陽子線治療(自由診療)

治療法の選択肢として陽子線治療が候補に挙がりましたが、自由診療のため費用は高額になります。

実際にかかった治療費(概算)

  • 陽子線治療費:約287万円

この方の場合、がん保険・医療保険で

  • がん診断一時金
  • 入院給付金
  • 自由診療に対応する治療給付金

などが支払われ、自己負担は大幅に軽減されました。

結果として、「お金の心配よりも、治療の中身を優先して選べた」ケースです。医師の説明を聞きながら、「自分にとって最善」と思える治療法を選択できたことに、非常に満足されていました。

4|前立腺がん・陽子線治療:312万円と経営者としての決断

プロフィール(匿名)

  • 男性・60代後半
  • 自営業・会社経営
  • 罹患:前立腺がん
  • 治療:名古屋西部医療センターの陽子線治療

こちらも自由診療による陽子線治療を選択されたケースです。

実際の治療費(概算)

  • 陽子線治療費:約312万円

会社を切り盛りしながらの治療となるため、健康面だけでなく、経営・家計の両面で不安は小さくありません。

実際に支払われた主な給付金

  • がん診断一時金
  • 通院給付金
  • 放射線治療給付金 など

「必要な治療はきちんと受けたい。ただ、会社や家族に過度な負担はかけたくない」

その気持ちを支えたのが、事前に備えていたがん保険でした。経営者としての決断と、その裏付けとなる資金を事前に準備できていたケースと言えます。

5|卵巣がん:診断一時金“5回支払い”という現実

プロフィール(匿名)

  • 女性・50代
  • 卵巣がん
  • 治療:刈谷総合病院ほか

卵巣がんの治療は、手術・抗がん剤・再発対応などを含め、長期化しやすい特徴があります。この方も例外ではなく、入退院と外来治療を何度も繰り返すことになりました。

特筆すべきポイント

  • がん診断一時金の支払いが合計5回に及んだ
  • 入院給付金も複数回・長期にわたり支払い
  • 手術給付金・抗がん剤治療給付金も継続支払い

治療がやっと一段落したと思ったら再発、あるいは副作用による再入院……。そのたびに、診断一時金・入院給付金が支えとなりました。

「医療費だけでなく、働けない期間の生活費も含めて、トータルで助かった」という言葉が印象的だったケースです。

6|乳がん:手術後“2年以上のホルモン治療”を支えた毎月の給付

プロフィール(匿名)

  • 女性・40代後半
  • 乳がん
  • 治療:安城厚生病院で手術、その後抗がん剤・ホルモン治療

乳がんは、手術自体よりも、その後の長いホルモン治療や薬物療法が負担になるケースが少なくありません。

この方のポイント

  • 手術後、抗がん剤治療を一定期間実施
  • その後、2年以上にわたりホルモン治療を継続
  • その間、毎月の治療に対して給付金が支払われた

通院ベースの治療は、「大きな入院費用」は発生しない一方で、じわじわと自己負担が積み上がることも多いものです。このケースでは、毎月の給付金がその負担を相当程度カバーしました。

「精神的にも長期戦でしたが、保険からの給付があったことで、気持ちにも余裕が持てました」とお話しされていました。

7|盲腸がん:再発・長期入院・緩和ケアまで続いた給付

プロフィール(匿名)

  • 男性・60代
  • 盲腸がん
  • 手術 → 抗がん剤 → 再発 → 長期入院 → 緩和ケア病棟へ

このケースは、がん保険の本質がよく表れている事例です。

主な支払い内容

  • がん診断一時金
  • 手術給付金
  • 長期にわたる入院給付金
  • 抗がん剤治療給付金
  • 緩和ケア病棟での入院給付金

治療は厳しい道のりとなりましたが、経済的な面では、最後まで保険が治療とご家族を支え続けた印象深いケースです。

8|最も胸が痛んだケース:保険を解約してしまっていた元同僚

最後に、一つだけどうしても記録として残しておきたいケースがあります。

プロフィール(匿名)

  • 女性・シングルマザー
  • 元生命保険会社の後輩
  • 罹患:大腸がん
  • かつて自らも保険営業に従事していたが、成績が伸びず退社

病気のことをSNSで知り、久しぶりにお見舞いに行きました。そのとき、私は何の疑いもなくこう声をかけました。

「保険、入っていて良かったね」

そのとき返ってきた言葉が、今も忘れられません。

「退社するときに解約しちゃった……」

会社に在籍していた頃は「仕事柄、保険には入っておいたほうがいい」という意識もあったはずです。しかし、仕事を辞めるタイミングで、保険も「仕事の一部」として整理してしまったのでしょう。

本来、保険は「仕事のため」ではなく、自分と家族を守るためのものです。そう考えると、とても残念で、胸が痛むケースでした。

9|がん保険“不要論”にも一理ある。ただし…

ここまでいくつかの事例をご紹介しましたが、正直にお伝えすると、約20年の担当経験の中で、実際にがんに罹患された契約者はごく一部です。

「高額療養費制度もあるし、がん保険は不要では?」という意見にも、一定の合理性があります。

ただし、本当に考えていただきたいポイントは一つだけです。

「自分がその“ごく一部”にならない保証はあるのか?」

そして、もしその立場になったときに、

  • 自由診療など高額な治療を前にしても、自信を持って「やります」と言えるか
  • 治療が長期化しても、「お金の不安」と「治療の不安」の両方に耐えられるか

数字や確率だけでは割り切れない、人間としての現実があります。頭では「自分なら治療はしないと割り切る」と思っていても、いざその場になったときに、その通りに行動できる人は多くありません。

10|がん保険は“安心料”ではなく“選択肢を残す備え”

がん保険は「入っておくと安心」というレベルの話ではなく、治療の選択肢と生活の継続性を守るための備えだと感じています。

もちろん、すべての方に同じ保障が必要なわけではありませんし、家計や資産状況によっては「がん保険をあえて持たない」という選択も理にかなう場合があります。

大切なのは、

  • 年齢
  • 家族構成
  • 収入と支出のバランス
  • 貯蓄・資産の状況
  • 既に加入している医療保険・がん保険
  • ご本人とご家族の価値観・リスク許容度

といった要素を総合的に見たうえで、「自分たちにとっての最適解」を決めることです。

11|ご自身のケースで判断したい方へ

ここでご紹介したのは、あくまで一部の事例に過ぎません。

がん保険が必要かどうか、必要だとしたらどの程度か、あるいは「貯蓄や他の保障でカバーできるか」──この答えは、お一人おひとり違います。

もし、

  • 今のがん保険・医療保険の内容が自分で把握できていない
  • がん保険が本当に必要か、第三者の視点で確認したい
  • 退職金・老後資金・相続とあわせて、保障の全体設計を見直したい

と感じていらっしゃるようであれば、一度「ご自身のケース」に引き直して整理してみる価値は十分にあります。

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※本記事は、実務経験に基づく一般的な情報提供であり、特定の保険商品・治療法を推奨するものではありません。加入の要否や具体的な保障内容については、必ずご自身の状況・最新の商品内容をご確認のうえ、ご判断ください。

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