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大分の大火が突きつけた現実 「隣の火事でもあなたの家計が破綻する」その本当の理由

2025.11.21

大分の大火が突きつけた現実
「隣の火事でもあなたの家計が破綻する」その本当の理由

2025年11月18日。
海沿いの静かな大分・佐賀関の街が、一瞬で悪夢にのみ込まれました。

わずか数時間で170棟以上が焼失、焼失面積は約4万9,000㎡(東京ドーム1個分)
1.4km離れた無人島にまで火の粉が渡り、180名以上が避難。1名が亡くなる痛ましい火災となりました。

そして、この火災は「遠くの話」ではありません。

名古屋で生活するあなたに“直結する警告”です。
なぜなら――隣の家からの火災であなたの家が焼けても、相手に賠償請求はできないからです。

1|名古屋にも“佐賀関と同じ条件”がある

今回の大火を拡大させた原因は非常にシンプルです。

  • 木造住宅が密集
  • 道が狭く消防車が入れない
  • 老朽建物が多い
  • 風速10m/s前後の強風

そして、同じ“火災が広がりやすい地形”は名古屋にも存在します。

名古屋市は公式に“木造住宅密集地域(11地区)”を指定しています。

  • 大杉・杉村
  • 日比津
  • 中村
  • 米野
  • 御剱
  • 大喜
  • 戸田
  • 下之一色
  • 呼続
  • 桜・笠寺・本星崎
  • 鳥羽見・廿軒家

例えば御剱地区だけでも約2,500軒
高齢化も進み、延焼リスクは年々高まっています。

「うちはそこまで密集していないから大丈夫」
――そう思いがちですが、それは非常に危うい“楽観”です。

2|隣の火災で自分の家が燃えても、相手に請求はできない

多くの方が誤解しているポイントがこれです。

隣の家の火事で自宅が延焼したら、火元に請求できるのでは?

残念ですが、できません。

日本には明治から続く「失火責任法」があり、

重大な過失がなければ、火元は賠償責任を負わない。

と明確に定めています。

つまり、

  • 隣の火事であなたの家が半焼
  • あなたの家財が全損
  • 生活再建に数千万必要

――こうした状況でも、法的には火元に1円も請求できないのです。

損害を補う“唯一の手段”はあなた自身の火災保険です。

3|飛び火は1km以上飛ぶ――「ウチは距離があるから大丈夫」も通用しない

今回の火災では1.4km離れた島に飛び火しました。

火災工学の研究では、風速10m/sの条件下では
火の粉が1〜2km移動することが確認されています。

つまり、

  • 近隣が木造密集地域
  • 自分はその外側の住宅街
  • 道幅も広く、延焼しにくい地域

こんな“安全そうな”場所でも、飛び火は容赦なく届きます。

名古屋は冬の北西風・春の南東風が強く、
地形的に飛び火しやすい土地です。
「距離があるから安心」は通用しません。

4|火災保険は「自宅の火事」ではなく「隣家の火事」こそに備えるもの

今回の大分火災は、火災保険の本質を突きつけました。

それは、

火災保険は、隣家の火災に備える保険である

という現実です。

自宅で出火しなくても、あなたは突然“被害者”になります。
そして、賠償請求はできません。

では、どんな補償を準備すべきなのか?

5|必ず知っておくべき3つの補償

① 自分自身を守る「火災保険(建物・家財)」

隣家の火災で自宅が燃えた場合、補償するのはあなたの火災保険だけです。

  • 建物の修復:1,000〜3,000万円
  • 家財の再取得:300〜1,000万円

築20年以上の木造住宅なら、修復費が1,500万円前後になることも珍しくありません。

古い契約のまま保険金額が低い方は注意が必要です。

② 隣家を守る「類焼損害補償特約」

これは“自宅が火元になった場合”の補償です。

隣家が火災保険に加入していても、保険金額が不足しているケースは多く、
その不足分(最大1億円)を補う特約です。

ご近所トラブルの回避にも役立つ、実務上非常に重要な特約です。

③ 心情に寄り添う「失火見舞費用保険金」

火災で迷惑をかけた近隣へ
1世帯につき20〜50万円の見舞金が支払われます。

金額としては小さくても、人間関係を守る点で大きな効果があります。

6|しかし注意:あなたが“被害者”の時には使えない

ここは誤解が多い部分です。

  • 類焼損害補償
  • 失火見舞費用

この2つはあなたの家が延焼した時には 1円も出ません

あなたを守る補償は
自分自身の火災保険だけです。

7|名古屋で今すぐ確認すべき4つのポイント

  • 火災保険の補償額は「再取得価額」になっているか?
    (古い契約は「時価」が多く、実費と大きな差が出ます)
  • 類焼損害補償特約は付いているか?
  • 家財保険は入っているか?
    (特に50代夫婦の家財は想像以上に高額)
  • 木造密集地域の近隣でないか?
    (距離があっても飛び火は1km以上飛ぶ)

8|火災保険の値上がりは“悪”ではない。その背景を直視すべきです

2025年前後で各社が火災保険料を値上げしています。

背景は明確です。

  • 気候変動による自然災害の増加
  • 大規模火災の増加
  • 建材価格の高騰

「何も起きていないから保険を安くしたい」
――この判断が、人生の後半戦で最も危険です。

今回の佐賀関の火災は、
“何も起きていなかった人ほど被害が甚大になる”ことを示しました。

9|あなたの人生設計を守るために

50代・60代は、
住まいのリスクが家計に与える影響が
“人生全体を変える年代”です。

火災保険の見直しは、
単なる家計管理ではなく、
人生の安全保障そのものです。

・「もし隣で火災が起きたら?」
・「飛び火で自宅が燃えたら?」
・「保険金額は十分か?」
・「家財もカバーされているか?」

この4つを真剣に考えることは、
家族と資産を守るための“最低限の備え”です。

必要であれば、あなたの状況に応じた最適な補償設計もご提案できます。

※本記事の内容は2025年11月時点の情報に基づく一般的な解説です。契約内容や補償可否は保険会社ごとに異なるため、必ず加入先または専門家にご確認ください。

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